反町技術委員長が語る1年延期東京五輪・森保監督の兼任是非「現時点で何とも言えない」「築きあげてきたものは間違っていない」
昨シーズンまで松本山雅FCを8年間指揮した、反町康治氏(56)を新たな委員長に迎えて再編された日本サッカー協会(JFA)の技術委員会が21日、ウェブ会議形式で初めて会合を行った。 終了後にはオンライン会議ツール『Zoom』を介して、反町委員長がメディアブリーフィングを実施。開催が来夏に延期された東京五輪に臨む男子代表と、2年後のカタールワールドカップ出場を目指すフル代表の2つのカテゴリーを率いる、森保一監督(51)による兼任体制の是非について「現時点では何とも言えない、というのが率直なところです」と議論できない状況にあると言及した。 「五輪が1年延びたことによって、当然ながらインターナショナルマッチデーが重なってくる。そのなかでどのようにして(2つの代表チームを)強化していくのかをにらんだ場合に、日程がわからない。決して(議論から)逃げているわけではなくて、本当にわからないので仮定の話をしても仕方がない。今日の技術委員会でもその話に至っていませんし、至ることができないのが現状です」 新型コロナウイルスの影響を受けて、世界中でサッカーが中断を余儀なくされてきた。国内リーグ戦こそ韓国で開幕し、ドイツでは再開されたが、国境をまたいでの移動を伴う代表チームのスケジュールは白紙状態となっている。ドイツを除くヨーロッパ各国でも、まずは国内のリーグ戦を再開させることにほぼすべてのリソースを集中させているのが現状だ。 フル代表の試合は原則として、国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際Aマッチデー(IMD)に開催される。3月、6月、9月、10月、11月と年間に5度設定されているIMDのうち、3月と6月の国際Aマッチはすべて延期。9月以降も不透明な状況となっている。
日本は昨年9月から行われ、4戦全勝でグループFの首位を走るカタールワールドカップ・アジア2次予選を、3月と6月の4試合で終える予定だった。いま現在は代替開催日だけでなく、9月から始まるはずだったアジア最終予選の日程も含めて未定となっている。 東京五輪世代となるU-23代表も、3月と7月に組まれていた国内での強化試合が中止。U-23代表が出場する予定だった6月上旬のトゥーロン国際大会の延期も決定している。 U-23代表を含めた年代別代表の場合、各国サッカー協会は海外クラブに所属する選手を拘束する権利をもっていない。ただ、IMD期間中は各国のトップカテゴリーのリーグ戦も原則中断されるため、JFAもIMDを利用して東京五輪世代の強化を進めてきた。 東京五輪に臨む男子代表チームを率いていた森保監督が西野朗氏(65)からバトンを託され、フィリップ・トルシエ氏以来となるフル代表との兼任監督になったのが2018年7月。 しかし、2つの代表チームのスケジュールがほぼ重複してきたなかで森保監督はフル代表を優先し、五輪代表の指揮は腹心の横内昭展コーチ(52)に一任してきた。兼任の是非論が浮上したのもここに最大の理由がある。 「でも、実際には日程が重ならない可能性もあるんです。あらゆることを常に頭に入れながら、すべてがわかってから日程を見て、という感じじゃないと」 フル代表と五輪代表の日程を別々に組める状況も生じるかもしれないとして、反町委員長は兼任体制の是非を議論するのは時期尚早とした。ただ、ファンやサポーターの不満や批判は森保監督のチーム作りや采配を含めた、指揮官としての手腕そのものにも向けられている。