2万人以上を指導したリーダーシップのプロコーチが教える、職場や夫婦で「すれ違いを生まない」ための会話術
・日頃から、小さな期待のすり合わせを大切にする 夫婦編の後半は、もっと些細な日常会話での知恵をお伝えします。 夫婦といえども、もとは赤の他人。それぞれ異なった価値観を持って人生を積み重ねてきました。だからこそ、ちょっとした期待のすり合わせをおろそかにしないでください。 それこそ、「目玉焼きには醤油かソースか」のような小さな(小さくない?)ことの期待のすり合わせをこまめにするクセをつけておくと、2人で「難易度の高い期待のすり合わせ」をするときもうまくいく確率が高まります。 実は離婚経験者の私が言うのもなんですが、一般的に、離婚する直前の夫婦の会話というのは、「私が仕事で辛い状況の時、話を聞いてと言っても全然聞いてくれなかった」「家を買うことになった時、私は本当は同意してなかった」とか、そんな会話ばかりなんです。 これは、あきらかに「お互いの期待のすり合わせに失敗している状態」あるいは、「全くすり合わせをしてこなかった状態」です。 私の知人の夫婦間の問題を解決する専門家は、結婚前の男女に対して、「お互いの未来への思いをすり合わせた契約書を結ぶこと」を提唱しています。 その契約書には、それこそ、「収入を夫婦でどう分けるか?」「子どもは何人ほしいか」「家事や育児をどう分担するか?」「親族との同居や介護の問題が発生したときはどう対処するか?」「浮気が発覚したときはどうするか?」など、さまざまな項目があります。 それを見ながら、結婚前にお互いの希望を出して話し合い、項目を埋めていって契約する。そして、結婚後も契約書は定期的にメンテナンスする。そうすることで、結婚後に「こんなはずじゃなかった」となることの回避につながるというのです。 たしかにこれなら、「期待のすり合わせ」を事前に実施しているわけで、あとから「こんなはずじゃなかった」となる可能性が低くなりそうです。 これから結婚する方にはすぐにでも実践してほしいですし、ベテラン夫婦でもこんな話をお互いに共有しながら、どんな未来を作りたいかを話し始めてもいいと思います。 ◎林 健太郎/リーダー育成家、合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏と出会い、プロコーチを目指してアメリカで経験を積む。帰国後、2010年にコーチとして独立。日本を代表する大手企業などで2万人以上のリーダーを対象にコーチングやリーダーシップの指導を行う。『否定しない習慣』『子どもを否定しない習慣』(ともにフォレスト出版)など著書多数。
林 健太郎