2万人以上を指導したリーダーシップのプロコーチが教える、職場や夫婦で「すれ違いを生まない」ための会話術
そんな知人が例えば上司に対して、「こちらの身にもなってくださいよ」と伝えたとすると、どんな言葉が返ってくるでしょうか。前段のやり取りだと、おそらくネガティブな言葉が返ってくることが想定されますが、おそらくこの5つのどれかになるでしょう。 1「言われた通りやってくれよ、めんどくさいな」 2「言ってることがよくわからないんだけど……どういう意味?」 3「それって本当に大事なの? 仕事だよ……」 4「またその話? もうよくない?」 5「今その話する? だいたい忙しい時にその話してくるよね」 どれも、会話としてはうまくいかないですよね。ですので、実際に期待を伝える前に、辛いかもしれませんが相手が(1)から(5)のどの言葉を言ってきそうか、想像してみてほしいのです。そして、それが特定できたら、相手の考えていそうな言葉を先に言葉にしてセリフを作ってみるといいでしょう。 それぞれの事例でセリフのイメージをご紹介しますね。 1「言われた通りにやれていなくて、面倒だと思うのですが、理由があるので少し話を聞いてもらえませんか?」 2「私のお伝えしていることは、ちょっとわかりにくいと思うのですが、少し一緒に整理する時間をいただけますか?」 3「仕事の中では効率重視なのはわかっているのですが、私が大切にしていることについて相談させてもらえないでしょうか?」 4「また同じ話で申し訳ないんですが、どうしても納得できないことがあって。少し聞いてもらってもいいですか?」 5「相談したいことがあるんですが、いつだったらお時間いただけそうですか?」 普段から一緒に仕事をしている相手なら、その人が感じていそうなことは容易に想像がつくと思いますので、それを先読みして言葉にすると、「配慮が感じられる」と、相手も聞く耳を持ってくれる。がんばってそんな機転を利かせてみてください。
■期待をすり合わせるための会話術 夫婦編 夫婦間の期待のすり合わせを怠ると、最悪、離婚の危機になります。毎日の会話の連続でできている夫婦関係は、会話を工夫することで、圧倒的に向上しますので、どうぞお試しください。 ・未来志向で考える 夫婦間での期待のすり合わせでは、「未来志向」を前提にして交渉するとうまくいきます。 未来志向とは、例えば、「私たち夫婦は、10年後にはどんな夫婦でいたいか?」などの未来像を共通の判断基準に据えるということです。「金婚式のときにどんな夫婦になっていたいか」というように、人生の基本方針の視点から、軸足を未来に置いて期待のすり合わせをするのです。 「マイホームを買うか賃貸でいくか」「子どもをどう育てるか?」「夫婦共働きをするかしないか?」といった目の前の問題・課題をどう解決するかを話し合うと、見解が異なり対立しやすくなるもの。 そのかわりに、「将来どんな家に住んでいたらハッピーか?」「子どもと20年後、どんな関係になっていたら楽しそうか?」「7年後、どんなライフスタイルを実現できていたら幸せだろうか?」こういった問いに変換して、これから先の未来、どんな夫婦でいたいかに目を向けると、共通の期待としてすり合わせしやすくなります。 問題に対しての解決策や計画を話すことよりも、未来の夢を語ることで人は心が動き、一致団結するのかもしれません。せっかく、長く共に生きる伴侶を得たのであれば、未来の話に花を咲かせてほしいものです。お互い、穏やかな気持ちでいそうな瞬間に、こんな会話を切り出してみるのはいかがでしょうか。