2025年も超重要「フィンテック10大トレンド」、DXやAI、BaaSはどうなる?
「金利ある世界」の定着と影響
2024年は日銀が長年続いた政策を転換して、「ゼロ(マイナス)金利」から脱したが、もう後戻りはできないということで2025年は「金利ある世界」を前提としたビジネス展開が必要となる。 この変化に対応して多くの金融機関が流動性確保の重要性を再認識し、預金獲得のための施策を強化するようになっている。 また、フィンテックスタートアップにとっても、これまで収益を生まなかった滞留資金が積み上がることによって運用益が期待できるようになり、資金移動業や決済ビジネスの展開においては収益構造に変化をもたらす可能性がある。 さらに、金利変動やその影響を受ける外国為替レートの変動にともなうリスクをどのように管理していくかは「金利ある世界」ではより慎重な対応が必要となり、各種リスク管理ソリューションへのニーズが高まるものと考えられる。 このように「金利ある世界」は、金融機関及びフィンテック企業にとってリスクと機会の両面をもたらし、市場環境の変化に柔軟に対応し、革新的なソリューションを提供することで、新しい成長の道を切り開く可能性が生まれる。
キャッシュレスの進展
2019年6月に閣議決定された政府目標によれば、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目指すとしていたが、2023年の段階で39.3 %に達していたことから、2025年の目標達成は確実視されており、将来の目標とされる80%が次のターゲットである。 消費者への経産省の調査(2022年)においても、生活の中でキャッシュレスに消極的な層は3割程度となっていることからかなり浸透していることがわかる。 同じ調査の店舗側の回答においては、キャッシュレスにメリットを感じていない層が半分程度存在していることから、2025年に決済比率を上げていくためには店舗サイドに配慮した施策が必要になることが考えられる。 2024年には10月時点で3000万人超となった訪日外国人にとっても、両替せずに支払いができるキャッシュレス決済拡大はメリットだ。しかし日本独自の決済手段だけでは利用できないことから、国際ブランドのクレジットカードやコンタクトレスの普及に加えて、QRコード決済の標準化にも期待が集まる。 アントグループが2024年11月に発表したPayPayとの連携強化によって、アリペイと協定を結んでいるKakao Pay(韓国)、EZ-Link(シンガポール)、Touch 'n Go eWallet(マレーシア)、GCash(フィリピン)、TrueMoney(タイ)など各国の代表的なQR決済の受入が可能になり、訪日外国人旅行者の利便性向上につながるものと思われる。