鳥貴族バイト店員の「一言」に超感動した…中国の外食チェーン社長80人が大挙して日本の居酒屋を視察したワケ
2024年11月、中国の新興飲食チェーンの若手経営者たちが大挙来日。ワタミグループや鳥貴族などの日本の大手飲食チェーン、中国本土出身者が経営する都内の料理店を視察した。日本進出の準備かと思いきや、どうやら真剣な「学び」のためらしい。ディープな中国料理店事情に詳しいライター、中村正人氏がレポートする――。 【写真】「香福味坊」での懇親会で出された料理の一部 ■日本で成功した「ガチ中華店」でレクチャー 11月上旬、中国の飲食チェーンのCEOたち約80人の日本視察ツアー一行が、東京秋葉原にある中華料理店「香福味坊」を訪問した。 香福味坊は、中国黒龍江省チチハル出身の粱宝璋(りょうほうき)氏がオーナーを務め、都内を中心に12店舗を展開する味坊集団の人気店のひとつだ。粱氏の出身地である中国東北地方の本場の料理、いわゆる「ガチ中華」を提供している。 梁氏は外食メディア14社が加盟する外食産業記者会が、その年の飲食業界に貢献した人物を選考する2022年度の「外食アワード」を中国出身のオーナーとして初めて受賞している。まさに日本のガチ中華界を代表するオーナーである(参考記事:「ガチ中華「味坊集団」のオーナーは、日本の外食をどう変えたのか」、中村正人、Forbes JAPAN 2023.02.15)。 その日提供されたのは、中国東北地方の常食材である羊肉や、粱氏が自ら営む農園でとれた野菜を使った、地方の伝統的かつ家庭的な味を再現したオリジナルな創作料理の数々だった。今日の中国でもほとんど食べることのできない内容で、中国から来たCEOたちにとっても新鮮な味わいだったようだ。 粱氏はその日、味坊集団に関する約1時間のプレゼンを行った。その内容は、彼が来日した1995年から今日に至る来歴に始まり、2000年1月に1号店となる「神田味坊」開店以降の歩みと個性的なグループ各店の特徴、提供する料理とサービス、出店先のエリア特性や客層などについて分析したものだった。