「遊びながら」ダービー勝利の無敗2冠馬コントレイルは父ディープインパクトに並ぶスーパースターホースになれるのか?
さて競馬ファンが気になるのは、史上7頭目となる無敗2冠の偉業を成し遂げたコントレイルが、この先、どこまで突き進むのか、である。 レース後には、オーナーサイドから秋は国内に専念し、3冠のかかる菊花賞(10月25日、京都、3000m芝、G1)へ向かうことが伝えられた。 「決して長距離が向いているとは思わないけど、距離については一戦ごとに自信を深めています。きょうの勝ち方なら同世代同士なら大丈夫だと思います」 矢作調教師からは早くも3冠宣言が飛び出した。 おそらく菊花賞の前に1戦は挟むだろうが、無敗でクラシック3冠を達成すれば、シンボリルドリフ、父のディープインパクトに続く史上3頭目の快挙となる。 コントレイルは才能に恵まれたディープ産駒のなかでも異彩を放ってきた。これまで2歳時にG1を勝ったディープ産駒は7頭いるが、早熟タイプが多く、コントレイル以外は3歳クラシック戦線で一度も馬券に絡めていなかった。矢作調教師は、コントレイルの一番の強みは成長力と言い切る。 「この馬は2歳の前半の時期に半年人を乗せていなかった。実質の調教をはじめてまだ1年しか経っていない。それを思うと、これからどんどん良くなる。まだ底知れなくて、完成期はもっと先だと思います」 またディープ産駒の牡馬でいえば、今年の天皇賞・春を連覇したフィエールマンが唯一のG13勝馬。それに3歳春の時点で並んでしまうのだから、先々の可能性が高まるのは当然だろう。 偉大な父は、昨年7月にこの世を去ったが、産駒の日本ダービー制覇は、これで3年連続6頭目となった。ただし、昨年のロジャーバローズなど、その後故障しているケースが多く、古馬でも活躍するような父を超えるスーパーホースが、まだ現れていない。 コントレイルは、父を超えることができるのだろうか。 現役時代のディープインパクトとのここまでを比較すると、5戦5勝は両者互角だが、G13勝という点では父を僅差リードしているとも言える。父は菊花賞を制した後に有馬記念に挑戦したが、ハーツクライに敗れ2着に沈んだ。だが、翌年から見事に再起。天皇賞、高塚記念、ジャパンカップとG13連勝、引退レースとなる有馬記念で雪辱を果たす。生涯レコードは、14戦でG17勝を含む12勝。2つの負けは、有馬記念と海外遠征した凱旋門賞の3着(失格)である。超えるのは生半可ではない記録だが、まだ進化途上にあるコントレイルの可能性は無限だ。 福永騎手も「まだこうなって欲しいというのが競馬の中にある」と指摘していた。菊花賞では3000mに距離が延び、新興勢力が台頭したとしても、この馬を止めるのは難しいだろう。暑い日本の夏を順調にクリアすれば、3冠はもちろん、ジャパンカップでのアーモンドアイとの最強馬対決までみえてくる。さらに、その先、コロナ禍が収まれば、父が果たせなかった海外の凱旋門賞制覇の夢もある。 福永騎手は、勝利インタビューをこう締めくくっていた。 「今日勝ったことでスターホースの仲間入りをしたと思うが、こういった馬の存在が、たくさんの競馬を応援してくださっている方の気持ちの張りというか、競馬を楽しむ大きな存在になってくれたらと思う。その馬に騎乗していたことを非常に誇りに思う」