なぜ同じ無観客で競馬、競艇はほぼ通常開催され競輪だけ中止が目立つのか?
新型コロナウイルス感染拡大の影響は競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルにも多大な影響を及ぼしている。2月後半から「無観客開催」とし、開催場、場外売り場での発売を中止、電話・インターネット投票のみで行われているが、「緊急事態宣言」後、各団体の明暗がクッキリと分かれてきた。競馬、競艇は、ほぼ通常通りの日程をこなしているが、なぜか競輪だけがほとんどの開催を中止としているのだ。 26日で見れば中央競馬は福島、東京、京都の3カ所で開催、東京ではメインで「オークストライアル」であるG2の「フローラステークス」が行われ、競艇は全国16カ所で開催、厳戒下の東京大田区にある平和島でも行われ、津ではG1「マスターズチャンピオン」の最終日があった。だが、一方の競輪は全国10カ所で開催予定だったが、行われたのは武雄(佐賀)、玉野(岡山)、広島の3カ所だけで、函館(北海道)、松戸(千葉)、立川(東京)、向日町(京都)など7カ所の開催は中止になっている。 24日には、5月5日から5月10日まで静岡競輪場で開催予定だった伝統のG1「第74回日本選手権競輪」までも中止と発表された。 当初、無観客での開催を目指していたものの、参加選手が162人で関係者の移動に感染リスクを伴うことから静岡市の田辺信宏市長が決断した。 「無観客による開催を模索していました。しかし、どうしても参加選手や関係者の移動を伴う。感染拡大を左右するこの重要な局面において開催中止という苦渋の決断をしました。事態が終息したら静岡競輪は復活します。その際は再び、ご来場をお待ちしています」 これには関係者や競輪ファンはショックを受けた。 競輪、競艇の予想、取材を掛け持ちしている某“二刀流記者”が言う。 「静岡ではほんの1週前にF2戦が開催されて、売り上げ9億円と結構売れていた。F2戦は小規模のレースで感染予防も徹底されていたようで、これをたたき台に静岡ダービーをやるものと思っていた人は多いと思います。最近は競輪の仕事はなくボートばかり」 日本選手権競輪は「競輪ダービー」とも呼ばれ、長い歴史と、最高の格式を誇る。年間6回あるG1開催の中でも”最高峰”に位置づけられる基幹レース。さすがにダービーはやるだろうというのが競輪関係者共通の認識だったようだ。 JKAによると、このレースが中止となるのは後楽園競輪場で行われる予定だった1961年(当時は全国争覇競輪)以来58年ぶり2度目のこと。往時の勢いは失ったが、松戸で開催された昨年の売り上げは135億円を超えていた。 歴代覇者には、中野浩一をはじめ、井上茂徳、滝澤正光、吉岡稔真らが名を連ねる。今大会には、昨年の優勝者で今年2月の世界選手権男子ケイリンで銀メダルを獲得した脇本雄太らが出場を予定していた。それが突然の中止発表だ。選手間にも衝撃が走り、競輪の将来に対する不安やダービー中止の喪失感などがSNSなどで発信された。