「これまで助けられっぱなしだった自分たちが、ようやく人に肩を貸せるようになった」――新生・純烈が温める思い
そのムードを元に戻したのも小田井。旧メンバーとも息の合った歌と振り付けを披露すると「この6人で紅白に出てから純烈を卒業するという夢が、形を変えて今日かないました」と笑顔を見せた。
この卒業記念ライブより大みそかの紅白歌合戦にかけての約1カ月半は、15年間のラストランにふさわしいギフトの連続だった。それは身内だけでなく、誰もが「小田井さんのために」との共通の思いで動いていたからにほかならない。 ライブではピーター・パンに扮し、長年の願いだった「コンサートで空を飛ぶ」が実現。脚本を担当したプロレスラーのスーパー・ササダンゴ・マシン(45)は「小田井さんはこんなにいろんなことができるんだという、プレゼンの場の意味もあった」と語った。
ダチョウ倶楽部の願いに応えた純烈
11月18日には下積み時代の拠点の一つ、湯乃泉 東名厚木健康センターでライブを開催。ダチョウ倶楽部の肥後克広(59)、寺門ジモン(60)を元気づけるべく実現したコラボユニット「純烈♨︎(おふろ)ダチョウ」としてステージに上がった。
これは「スーパー銭湯ライブを経験してみたい」という肥後と寺門の願いに応えたもので、下のフロアより伝わるお風呂の熱と湿気でムンムンとなる独特の空間を、ぎゅうぎゅう詰めの純子・烈男(純烈ファンの呼称)とともに味わった。ダチョウ倶楽部の2人はライブ後の撮影会にも参加、1時間以上かけてすべてのファンと至近距離からの交流を図り、うれしそうだった。
小田井ラストランのお膳立て
テレビでも小田井の卒業企画が次々と実現。『うたコン』(NHK、11月15日放送)では、サプライズで両親が呼ばれ、母の言葉に51歳(当時)の息子が涙した。 「特別なことはせずにいつも通りにやって、最後は紅白に出て『あ、卒業しちゃったんだ』ぐらいで終わるイメージだったんです。芸能活動をやめるわけではないし、事務所もこのままだから、ふっといなくなったほうがその後の仕事もできると、あまり“終わった感”は出したくなかった。だからファンやメンバーの前でも泣かないようにしたし……『うたコン』と『情熱大陸』だけ、家族の前だったので涙が出ましたけど。 でも、周りの皆さんが卒業に向けていい形にしようと一生懸命動いてくれているのを見て、ならば最後に与えられたテーマに沿って最大限やらなければってなりました。それって、今まで自分が純烈でやってきたことに対する評価じゃないですか。この人はちゃんと送らなあかんと思ってもらえたその証しなのかなと」(小田井)