「これまで助けられっぱなしだった自分たちが、ようやく人に肩を貸せるようになった」――新生・純烈が温める思い
卒業までのラストランを疾走した小田井だが、酒井によると前述の大阪公演の稽古前に「そんなのできんわ!」とキレたらしい。その頃になると純烈の活動だけでなく、ソロや妻LiLiCo(52)との仕事のスケジュールも過密化し、ほとんど休みがなかった。「自分が主となってやるものならいいモノにしたいのに、その時間が取れないことでのフラストレーションがたまった」と明かす。 長尺のセリフと劇中歌の歌詞を新たに覚える必要があるにもかかわらず、稽古に充てられたのは実質2日。新メンバーとなる前に共演した岩永も、これには衝撃を受けた。 「2日といってもそれぞれ2、3時間の芝居合わせがあっただけ。それでも皆さん、仕上げてくるんですよね。でも、これが純烈のノリなんだなと」
突然の新メンバー発表の裏側
当初、新メンバーのお披露目は2023年元日の蒲田温泉での銭湯ライブにておこなわれるはずだった。岩永自身もそのつもりでいたが、映画『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』の公開初日舞台挨拶(2022年9月1日)を直前にして、酒井が変えた。 決まっていた計画をドラスティックに変えてしまったところ、結果的にはネットニュースなどで取り上げられ大きな話題となり世間へ伝わった。長期的な道筋を立てつつ、臨機応変にちゅうちょなく動けるのが、プロデューサー・酒井の真骨頂だ。 「あれは、製作の東映ビデオさんから舞台挨拶に人がそんなに集まっていないって連絡が来て。そういうのって、僕は何かの前兆と受け取るんですよ。それが自分でも元日に発表するのはちょっと違うよなって思っていたタイミングで。あそこでダチョウさんにも出てもらって、お二人が新メンバーを呼び込むっていう流れは必ず未来の何かにつながるという確信が持てたんです」 小田井が卒業を公表した時点では、ダチョウ倶楽部とのコラボレーションも想定していなかった。当然、紅白で有吉弘行も加え『白い雲のように』を7人で……いや、上島竜兵さんも含めた8人で歌うことも。流れの中でできる最高な形を追い続けたゴールが、あの大みそかの晴れ舞台だった。