高校サッカーで頂点極めた”大型新人”MF松木玖生はFC東京で定位置を勝ち取れるのか…「監督の色に合ったプレーで個の力を出し勝利に貢献したい」
新潟時代に標榜したサッカーを踏まえれば、FC東京のスタイルも180度変わる。FCバルセロナの下部組織でスカウトやコーチ、ディレクターを努め、若手育成に注力した53歳の指揮官は、新体制発表会でFC東京へこんな青写真を描いた。 「首都のクラブとして、魅力的で注目に値する存在にしていきたい。現時点で保証できるのはピッチに立つ選手たちが、常に全力を出し尽くすチームを作っていくこと。それを日本人が好む美しいサッカーで表現していきたいと思っている」 堅守速攻型からボールを大事につなぐポゼッション型へ。真逆と言っていいスタイルに順応できるのか、と問われた松木は「遜色なくできると思う」と飛び級で抜擢され、ゴールも決めたU-22日本代表での経験を踏まえながら自信満々に胸を張った。 「自分は青森山田だったからこそ、そういう(堅守速攻型の)サッカーをしていたわけであって、パスをつなぐサッカーだった代表にもうまくかかわれたと思っています。もちろんまだまだのところもあるので、ポゼッションサッカーを学びたい、吸収したいという気持ちも強い。そこはすごく楽しみな部分ではありますね。まずは任されるポジションをどこでもやりたい気持ちが強いし、それがボランチであればすごく光栄です」 キャプテンとして青森山田をけん引し、インターハイ、プレミアリーグEASTを含めた三冠を制した3年時と同じポジションで勝負したいと松木は意気込んだ。 昨シーズンの新潟の基本システムは、ダブルボランチをすえた[4-2-3-1]だった。FC東京でも同じアプローチが取られると考えた場合、38試合の長丁場だったJ1リーグ戦で36試合に出場し、プレー時間がチーム2位の2932分を数えた24歳の安部柊斗が間違いなくボランチのファーストチョイスになってくる。 しかし、明治大から加入して3年目を迎える安部のパートナーを探すときに、FC東京のボランチは昨シーズンから決して選手層が厚いとは言えなかった。 候補は出場32試合、プレー時間2232分の数字を残した32歳の青木拓矢で、35歳の高萩洋次郎(19試合・961分)、22歳の品田愛斗(8試合・182試合)が続く。2列目からボランチへの転向を希望する31歳の三田啓貴、名古屋グランパスから移籍加入した、センターバックを主戦場とする28歳の木本恭生も加わる可能性もある。 もっともゴール数を振り返れば、高萩や品田だけでなく青木、そして安部も無得点だった。松木が高校時代に強みとした「ボランチでも得点を決められるところ」を、プロでも実践できるとアピールすれば、レギュラーに食い込む余地も十分に生まれてくる。