ほっしゃん。から本名に戻して活動中の星田英利。「初執筆した本の題字は娘が書いてくれた」2児の父の素顔も
女子高校生の主人公「ミコト」の家庭環境と、星田さんの家庭環境の違いとは?
――そもそも文章を書くことは得意だったのでしょうか? 星田 小さいころ、両親がよく本を買ってくれました。だからか、子どものころから話すよりも書くほうが好きでした。作文や読書感想文をほめてもらった記憶もあります。小学生の高学年で星新一さんのショートショートにハマってすべて読みました。 ――主人公「ミコト」の家庭は両親が離婚している上にネグレクトで、愛情に飢えた描写がありますが、星田さん自身はどのような家庭環境で育ちましたか? 星田 厳しい家庭だったので本当によくしかられました。でもしかられながらものびのびと育ててくれたように感じています。 この前、8年ぶりに親に会いましたが、会って話していると深くつながっているという感覚がありました。そして、安心させたら一気に老けてしまうような気がしたので、子どものままで心配をかけ続けたろ…という思いもありました。「もっと会いに行きたいけれど、会えへん」というような複雑な気持ちもあるんですよね。 ――星田さんの育った環境を知ると、「ミコト」の家庭環境とは違うように思いました。 星田 僕自身が育った家庭、今の自分が築いている家族とも真逆なのでそこは想像しながら書きました。でも、僕は演者なので登場人物、全員の役になりきることができます。いじめる役のとき、相手にダメージを与えるにはどうしたらいいか、母親ならばこんなときどんなことを思うのか…など、自分なりに考えました。だから僕の要素も入っています。
悩みは人に話して”半分こ“にはしたくない
――星田さん自身は子ども時代、どんな子どもでしたか? 星田 小学5年生までは活発な子でした。でも転校することになり、新しい学校でまた友だち作りを構築しないといけないことがつらくなってしまい、そこから内にこもるようになっていきました。今振り返ると、このころから人と距離があくようになって人づき合いは苦手になったのかもしれません。 今でもまわりの人に対して思っていることを「言えない」のではなく「言わない」人です。つらいときも「つらい」と言いません。人に相談するという感覚が自分の中にないんですよね。だから小説の主人公「ミコト」も人に相談することなく、自分で決断したことに突き進んでいく感覚を持っている姿を描いたのかもしれません。 ――「人に相談をしない」という感覚をもう少し詳しく聞かせてください。 星田 よく悩みは人に話して”半分こ“にしようっていいますが、その半分さえも好きな人や仲間に負わせたくない、巻き込みたくないという感覚です。自分の悩みを聞いてもらうことで相手が負担に思うならば、人に相談をせず、自己解決しようと考えるんです。でも、喜びについては違いますよ。喜びはみんなで分かち合いたいと思っています。