コロナ禍で飲食業界に異変? 焼肉店が増えている理由とは
ホルモン・焼肉座『ちからや心斎橋店』(大阪市中央区)も10月5日に新規オープン。焼肉どうらくグループのフランチャイズ店だ。1階2階でカウンター、テーブル席など総席数43。アシスタント・マネージャーの大鵬健太さんは北新地でふぐ専門店(2店舗)を10年経営していたが、コロナで大打撃を受けた。
「ふぐ店は、11月から翌3月までの5か月で1年分の売り上げを稼ぎます。今年に限ってはコロナの影響で2月初旬からキャンセルが相次ぎ、4月は休業したため全滅。季節モノのふぐ料理は夏場はダメですし、売り上げが見込めない。一方、焼肉店はフルシーズンで売り上げが見込めます。それでマネージャーになりました」(大鵬さん)
だが、最近また困惑気味でこう話す。 「GoToキャンペーンのお陰でオープン以来、満席でした。ところが、『見直し』になって時短営業も加わり、またキャンセルが相次ぎました。北区と中央区の飲食店は厳しいでしょう。この前、十三に行ったらけっこう賑わってましたけどね…」 大鵬さんは結婚して30年。これまでふぐ店も順調だった。「キャンピングカーを持っているので、今年は妻とゆっくり日本をまわる予定でした。それもできず、コロナで生活がすべて変わった。でも、何とか乗り越えていきたい」と、力強く語った。
1人焼肉のチェーンを展開する焼肉ライク(本社:東京都渋谷区)は7月に『焼肉ライク堺東店』をオープン。10月にも『尼崎店』をオープンしている。 「先日、焼肉ライクが取材で取り上げられてテレビ放映があったんですよ。その影響だと思いますが、1~2週間はお客様が増えました。1人で気軽に入れることもありますが、日本人は焼き肉が好きなんじゃないですかね」(フランチャイズの焼肉ライク堺東店)
焼肉店増加の理由について焼肉チェーンの関西グループ統括者は、こう説明する。 「正直なところ、飲食業界の中で焼き肉は比較的コロナの被害が少ないのです。理由の1つは換気の良さがある。居酒屋さんは30分に1回の換気がほとんどですが、焼肉店は3分に1回の空気の入れ替えを行っています。換気量は一般飲食店のおよそ10倍です。それと、技術面でも、お客様が肉を焼きますので特殊な技術がいらない。それが増えている理由でしょうか」 居酒屋などの閉店が相次ぎ、居抜きの物件が多く出回っているので、新規出店の初期投資が少なくて済むとも言われている。