トレード可能性の消えたダルビッシュ 焦点はオフのFA200億円攻防
「そういう可能性もあるなと。別にどっちでも大丈夫です。もちろんテキサスは好きです。好きというのと契約をするのは全く違う話。ビジネスなので」 10日、オールスターゲーム前日に行われた会見で、レンジャーズのダルビッシュ有はトレードについて尋ねられると、そう答えたそうだ。 これをどう読み解くか。 まずトレードの”可能性”について考える。 ウェーバーを経ずにトレードができる7月31日までに動くチームは2種類に分けられる。アメリカでは、バイヤー(買い手)とセラー(売り手)と表現するが、バイヤーとは、プレイオフを勝ち抜く上で必要なピースを集める、あるいは、もう少しでプレイオフに届くので、弱点を補強するといったチームのこと。逆にセラーは、プレイオフ出場の望みがなく、再建モードにはいったチームを指す。将来を見据え、ベテラン選手を価値のあるうちにトレードに出し、有望な若手を獲得する、あるいは、オフにフリーエージェントとなり、その選手との再契約が難しそうなので、仕方がなくそれを迫られるというのが、パターンか。 で、レンジャーズだが、ア・リーグ西地区では2位タイながら、1位のアストロズには16.5ゲームも離され、地区優勝は絶望的。ただ、2チームが出場できるワイルドカード争いでは、2位のレイズまで3ゲーム差の5位タイと微妙な位置にいる。仮に、トレード期限までの約2週間でゲーム差が開けば、ダルビッシュが言う“可能性”は現実味を帯びてくるが、現時点ではどう転ぶかわからない。ESPNのジェリー・クラズネック記者も13日、「レンジャーズは、ダルビッシュとコール・ハメルズについて、話があれば聞く用意がある」とツィッターでトレードを匂わせたが、「もし、7月31日のトレード期限までに調子が上がらなければ」と条件を付け加えた。それが現実的な捉え方だろう。 ただ、実際のところ、ここから負けが重なろうが、ある程度の条件を提示されようが、レンジャーズの方針そのものは変わらないのではないか。 レンジャーズの前提は、あくまでも再契約。よってトレードはしない。 ダニエルズGMは、現地メディアにトレードに否定的な見解を表明した。