体重増加や肌トラブル、アルツハイマー病にも効果のある「抗炎症作用がある食べ物」5選
抗炎症食とは?
抗炎症食は、セレブ皮膚医のニコラス・ペリコンが「患者の若々しさと輝きの秘訣は抗炎症食にある」と言ったことで、2000年代に流行した。その後、抗炎症食の有効性を証明しようと数々の実験が行われた。 ボレリウスが抗炎症食という言葉に出会ったのは、スウェーデンのルンド大学理事会に在籍していた2013年のこと。 「ルンド大学の研究者の1人が44名を対象に抗炎症食の実験を行いました。被験者の血圧、コレステロール値、認知機能に驚くような変化が見られたため、被験者をモニタニングしていた医師は彼女に電話して、『どんな魔法を使ったんだ?』と聞いたそうです。彼女から被験者の食事内容を聞いたときは、椅子から転げ落ちそうになりました。私がフィットネストレーナーの指示のもと数年間続け、健康状態を大幅に改善した食事法とまるで一緒だったから。おなか周りの脂肪と背中の痛みが消えたばかりか、軽度のうつ病まで治してくれた食事法です」とボレリウス。 抗炎症食で摂取される食材は、フルーツ、野菜、オリーブオイル、全粒穀物、脂の乗った魚、ターメリック、アボカド、チアシード、発酵食品、ボーンブロスなど。つまり、至るところで健康によいと言われる食材ばかり。 「このような食材は何年も前から体に良いと言われていますが、その理由はハッキリしていませんでした」とボレリウス。 “1日5皿の野菜”と言われるのは、少なくともそれだけ食べれば健康が維持できることを示した研究結果が存在するから。脂の乗った魚は地中海式ダイエットの大黒柱で、心身の健康維持の秘訣と称する論文が増えている。そして、発酵食品が人気を取り戻したのは、ここ数年で腸の健康が重視されるようになったから。 「抗炎症作用の観点から見れば、ヘルシーと言われる食材が実際にヘルシーである理由が分かります」とボレリウス。 体内の炎症に関連する食材を見分けられるようになったら、今度は炎症を引き起こす食材と鎮める食材を見分けられるようになろう。 生物医学・薬物療法専門誌『Biomedicine & Pharmacotherapy』掲載の論文をはじめ、いくつかの研究結果は、ターメリックが炎症を鎮めることを示している。でも、ターメリックに負の作用があるかどうかは明らかになっていない。そして、炎症を鎮める食材と引き起こす食材に関する科学者たちの見解は、いまだ一致していない。 「乳製品など、実験のたびに違う結果が出る食品は、いまもあとを絶ちません」と話すのは、公認管理栄養士のアシュリン・ピゴット。 「体内の炎症に与える影響は、まだ謎に包まれていると言えますね。同じ食べ物でも人によって反応が違うのかもしれませんし、その人の食生活の他の要素が結果を変えているのかもしれません」 抗炎症食の先駆者は、米南カリフォルニア大学のジェイムズ・エベール博士とニティン・シヴァッパ博士。この2人は、炎症に関する論文を1,900本以上書き、炎症作用と抗炎症作用のいずれかを持つ45種の食品または成分(アルコール、カフェイン、オメガ3脂肪酸など)のリストを作った。このリストは食事性炎症指数(DII)と呼ばれ、300以上の実験で使われている。 栄養学の世界で因果関係を実証するのは、とんでもなく難しい。でも、自然食品を中心とした食生活が人に与える長期的な影響を調べる研究は着々と進んでいて、興味深い結果も続々と出ている。 英マンチェスター・メトロポリタン大学が行った2018年の研究では、炎症性の食事をした人のうつ病リスクが40%高かった。内科学専門誌『Journal of Internal Medicine』に掲載され、7万人の被験者を16年間にわたって追跡した研究結果は、抗炎症食を続けたことで、心疾患による死亡率が20%、発がんリスクが13%低下したことを示している。さらに、この研究の被験者が何らかの理由で死亡する確率は、炎症作用の高い食事をした人よりも18%低かった。