2024年ベストスマホ? 撮ってて楽しかった“ほぼカメラ”な「Xiaomi 14 Ultra」を振り返る
2024年ベストスマホを挙げるとしたら何を選ぶだろうか。魅力的なモデルが各社から出たが、中でも注目度が高かったスマホの一つが、中国Xiaomiが満を持して国内投入した「Xiaomi 14 Ultra」だ。今もなお写りがいいスマホとして名高い。 【写真はこちらから】ほぼ“カメラ”なスマホ「Xiaomi 14 Ultra」の作例を見る(全25枚) なにはともあれ、まず作例を見てほしい。どれも14 Ultraで撮影した“撮って出し”の写真だ。一部露出やフィルターなどの設定は変えているものの、基本シャッターを押したあとは加工を加えていない、純正のカメラアプリだけで撮影した。
何が良い? トーンがいい!
14 Ultraは、アクセントになっている円形デザインの中に4つのカメラ(13mmの超広角、23mmの広角、75mm/120mmの望遠)を内蔵している。特筆すべきは23mmで、ソニーの最新1インチセンサー「LYT-900」と、F1.63~F4までの可変絞りに対応した、「Summilux」名のレンズをあしらっている。また、超広角だけでなく75mmは10cm、120mmは30cmまで近づけるテレマクロ機能も特徴で、1ページ目に載せた水滴の作例はこのマクロ機能を使って撮影している。 では、14 Ultraのカメラの何が良かったか。シンプルに言えば「トーンの豊かさ」に尽きる。スマートフォンのカメラは、小さなセンサーを高度なISP&プロセッサパワーで駆動させる、画像処理の歴史でもある。HDRもそうで、ナイトモードなどの高感度撮影、ボケを再現するポートレートモードなど、画像処理でジワジワと本家カメラとの差を詰めてきた。しかし、まだ差があるとすれば“色作り”の分野で、ここは各カメラメーカーが長年かけて育ててきた部分でもある。 一時期の中国製スマートフォンのカメラは、かなり派手な色使いだった。初めて独Leicaとコラボしたスマホメーカーといえば中国Huawei。筆者も「P20 Pro」をメインスマホとして一時期使っていたが、スマホとは思えない写りの良さに感動した。しかしやはりビビッドさ、鮮やかさが先行していたように思う。豊かなトーンとは、鮮やかさとはまた違う、階調に余裕を感じさせるものだ。これを再現するには当時のセンサー/ISP/プロセッサは非力だったのかもしれない。 しかしキーパーツと実装が進化し、薄型ボディながら1インチセンサーを搭載できるまでになった。しかも14 Ultraが採用するLYTIAシリーズは、ダイナミックレンジが大幅に改善しており、一眼カメラに匹敵する14ストップのレンジを確保できるというのだから驚きだ。これにプロセッシングパワーや画像処理の進化と、Leicaとのコラボレーションによる色のノウハウが加わり、世代を増すごとに熟成が進んだ結果なのだろう。 14 Ultraには、Leicaの名前を冠したカラープロファイルとして「Leica Authentic Look」と「Leica Vibrant Look」の2つが選べるが、オススメはAuthentic Lookだ。落ち着いたトーンなのだが、色が素っ気ないというわけではなく、落ち着きながらも階調・色再現性に富んだ画が出てくる。 また、Authentic Lookには、フィルターのように色味を変えられる「Leica Image Look」が用意されている。モノクロからカラーフィルム調のものまで多くのプリセットがあり、モノクロだけでもシンプルなものから青みがかったものまで複数から選ぶことができる。被写体にハマればかなり印象的な写真が撮れ、「後からアプリでレタッチ」なんてことも考えなくて良い。 ただ、14 Ultraの写りには少しクセがある。夕方や夜、日陰、室内などの場合は露出を「マイナス0.7~マイナス1」にしたほうが見た印象に近かった。デフォルトだとハイライトが飽和し、HDRっぽいアンダーの浮きが気になる。マイナス1にすると全体の露出は若干下がるが、黒浮きが大人しくなり、写真が締まって見える。