親の世話になりたくないーー高齢の両親に介護されるいらだち 難病と闘う落水洋介の葛藤 #病とともに #ザノンフィクション #ydocs
「いつもありがとう」 両親に伝えた感謝の気持ち
仲間にも恵まれ、一人暮らしへの夢に向かって進み始めた落水さん。けれど、心にモヤモヤと残っていることがあった。 それは両親についてだった。 いつも冷たくあたってしまう父と母に、きちんと感謝の気持ちを伝えるべきではないか。落水さんは、私の取材を機にある決意をした。 電車へ乗って出かけたのは、実家近くの繁華街。花束を買おうと思っていた店は閉まっていて、代わりにうなぎ店で持ち帰りのうな重を注文した。母が疲れていた時に、「うなぎを食べたい」とつぶやいていたのを覚えていたのだ。 注文ができ上がるまでの間、落水さんは店のカウンターで照れ隠しのように瓶ビールを飲んでいた。 「いつも、ありがとう」 帰宅を迎えた母・仁子さんに、落水さんははっきりと伝えた。 息子から母への、初めての感謝の言葉。 「いい匂いがする」 仁子さんは目を潤ませながらうな重を受け取って、奥の部屋にいた夫の徹夫さんを「お父さ~ん」と大きな声で呼んだ。
落水さんのこれから
取材から1年あまりが過ぎた今、落水さんの体の力は少しずつ弱くなっている。けれど活動は精力的だ。今も、ヘルパーを入れて、週に1回は外泊を続けている。 また「おっちーハウス」では支援者と子ども食堂も始めた。誰とでも仲良くなれる落水さんは、地域の人が集まる“中心”にもなっている。 何より変わったのは親子の関係だ。母・仁子さんによれば、自宅では以前よりも親子のコミュニケーションが増えたという。 そればかりか、落水さんは母と二人そろっての講演も始めたそうだ。7月にも北九州市からの招きで、大きな会場に登壇する予定だ。舞台上で照れくさいように笑う落水さんと、誇らしげな仁子さんの姿が、目に浮かんだ。 (取材・記事:粂田剛) この記事はフジテレビ「ザ・ノンフィクション」とYahoo!ニュース ドキュメンタリーの共同連携企画です。 #Yahooニュースドキュメンタリー #令和アーカイブス
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