なんと、深海の熱水孔より「高温の熱水を噴き出すスポット」が陸上にあった…「生命誕生は陸上」説で生じる謎と「うまい具合のシナリオ」
進化の舞台は、どうやって陸から海に移ったのか
もし生命の誕生には、まずRNA(のような分子)が原始地球上で無生物的に生成し、そこからRNAワールドに向かうという過程が不可欠である、という立場をとるなら、熱水の存在する陸地(陸上温泉など)が必要であり、生命が海で誕生した可能性は低いということになります。 しかし、5億年前に生物が陸上進出するまで、生物が海で進化したことは間違いありません。とすると、陸上で誕生した生命がいかにして、うまい具合に海に移り住んだのか、その機構も考えなくてはなりません。ディーマーたちが考えたのは、次のようなシナリオでした。 陸上温泉で誕生した原始生命は、風などにより別の池などに広がっていった。そして、ついに海につながる河口域にまで達し、そこから進化の舞台を海へと移していった…… *次回は、再び宇宙との関係から進化を見てみます。宇宙線が生命誕生にどう影響したかを、著者の研究や経験も交えて、解説していきます。5月20日(月)公開予定です。 生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか 生命はどこから生命なのか? 非生命と何が違うのか? 生命科学究極のテーマに、アストロバイオロジーの先駆者が迫る!
小林 憲正