日ハム新庄監督がSNSでクローザー候補のドラ8位ルーキー北山を開幕投手にサプライズ指名した波紋と“真の狙い”
パ・リーグの野球に詳しく元阪神、ダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏は、「オープナーとしての起用でしょう。1イニングか2イニングか。鍵を握るのはロングリリーフを任される2番手、3番手の投手だと思う。藤本監督が『どんどん代わってくるつもりで』『一回で潰す気持ちで』と語っているように、開幕の緊張感の中で、いきなり目先がコロコロ変わることがどう影響するのか。いきなり2番手に左腕をロングリリーフに持ってこられると混乱もある。開幕から異例のオープナーでスタメンをどう組むかも考えさせられるでしょう」と予想する。 そして新庄監督の”真の狙い“をこう分析した。 「もう誰もがわかっているでしょうが、狙いはローテーずらし。エースの千賀に対して、年間を通じてローテーの軸になってもらいたい上沢、伊藤をぶつけるよりも、相手のエースでないところにマッチアップさせて、勝率を高めようという考え。中日の落合監督が、川崎憲次郎を開幕に立てて、実質エースだった川上憲伸を3戦目に回して、年間を通じ川上に貯金を作らせて優勝した例があるが、トータルマネジメントとして戦力の厳しいチームの戦略としてはありえる作戦。ただ新庄監督がちょっと違うのは、そこに抑え候補を送り出したこと。もしかすれば北山が初戦に先発、2、3戦で抑え起用なんてこともありえるかもしれない」 単なる”奇襲”ではない。 2004年に中日の監督に就任した落合氏はFAでの移籍後、一度も1軍登板のない川崎を開幕投手に指名。そして前年は怪我で4勝に終わっていたが、実質エースの川上を第3戦に起用。相手エースとのマッチアップを避けたことで、この年、川上は、17勝7敗で最多勝を獲得してチームの5年ぶりの優勝に貢献した。 新庄監督の狙いは、前日の発言から見え隠れしていた。都内のイベントに出席した際に「プロ野球の開幕は3日後の福岡じゃない。札幌ドームでやるのがプロ野球開幕と思っている。だから3日後の開幕一発目から3連戦は遊びます。真剣勝負は札幌から」と発言していたのだ。 “遊び”という表現に賛否両論は出たが、オープン戦の最後の調整を見る限り、ちょうど開幕1週間前となる18日に伊藤、19日に河野を先発させていることから逆算すると第2戦に伊藤、第3戦に河野を持っていき、本拠地開幕の初戦に昨年12勝で勝ち頭の上沢を起用するプランなのかもしれない。 一方のソフトバンクは、第2戦は東浜、第3戦は杉山が有力とされており、ローテーの1人だった松本がハリ治療のハリが体内に埋没するというアクシデントもあり、レイや新外国人のチャトウッドが加わるまではローテーの台所事情は苦しい。日ハムがつけいるスキがある。新庄監督が、北山に何イニングを任せ、そして2番手以降に、どんな投手を用意して、第2戦、第3戦に誰を先発指名するかも注目だろう。 だが、シーズンの順位予想となると、日ハムの快進撃は予想し辛い。