【ABC特集】“玄関で授業” “廊下で体育 “定員を超えた詰め込み” 特別支援学校の教室不足 3年前の調査で“全国ワースト”の大阪府 「学校増やして!」と親と教師らが切実な訴え
(母親)「今現在、しんどい思いをしている子どもたちが、置き去りにされているような気がして悲しいです」 障害のある子どもたちの親が、傷つき、怒っています。大阪府立の『特別支援学校』。3年前の国の調査で、全国で一番、教室の数が不足していることがわかりました。その数、『528教室』。 (支援学校の教師)「定員を上回る子どもたちを押し込める」「この状態を放置することは、もはや、障害児に対する差別ではないでしょうか」 「支援学校を増やしてほしい!」。大阪府に対して、親や教師が求めています。子どもの“詰め込み”に、“教室の間仕切り”、そして“通う学校の変更”。信じられない実情に迫ります。
「教育環境が悪すぎる」大阪の特別支援学校の実態
去年12月、大阪府立の特別支援学校に通う、子どもの親や教師らの団体『大阪の障害児教育をよくする会』が、大阪府の職員と話し合いを開き、「支援学校の教育環境が悪すぎる」と訴えました。
(荒谷美里事務局長)「本当に劣悪です。図書室や図工室、音楽室などを普通教室に転用する」 (岩田美穂会長)「いま、このとき、児童は間仕切りされた教室で過ごしていたり、廊下で体育をしなければいけなかったり」 よくする会が、大阪府に提出した報告書。教師らが集めた、学校内部の写真です。更衣室を教室にしている学校(和泉支援学校)、玄関に机を置いて授業をしている学校(生野支援学校)、プレハブ教室を約50年使っている学校(八尾支援学校)もあります。
(大西悦子副会長)「50年使用されたプレハブ校舎を、『このまま利用しなさいと』おっしゃるつもりでしょうか?」 (荒谷事務局長)「八尾(支援学校)のプレハブは、詳細はご存じですかね?」 (大阪府教育庁支援教育課 職員)「なるべく早急に改善ができるように・・・どういうかたちで、解消していけるか検討しているところでございます」
よくする会の調べでは、教室が足りない学校は、府立46の支援学校の6割に及び、最大で43教室、不足している学校があることが判明しました。 (大阪府教育庁支援教育課 職員)「新たな学校整備のほか、既存の教室改修での対応など含めまして・・・引き続き、幅広く、検討してまいりたいと考えております」 大阪府側からは、この事態を、抜本的に解決するような策は示されません。大阪府政への“期待”と“失望”。
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