【ABC特集】“玄関で授業” “廊下で体育 “定員を超えた詰め込み” 特別支援学校の教室不足 3年前の調査で“全国ワースト”の大阪府 「学校増やして!」と親と教師らが切実な訴え
教室不足の対応は学校側が パニックに陥る子どもも
実は、大阪府立の支援学校に通う子どもは、右肩上がりで増え続けていて、この25年で約2倍になりました。この先、さらに増えると予測されています。増加の一因は、地域の学校に通っていた、『発達障害』の子どもたちが、支援学校を選ぶようになったこと。学力競争やいじめの問題など、普通学校への“行きづらさ”が背景にあるといいます。
支援学校の教職員らが加入している“組合”。事務所を訪ねました。
(大阪府立障害児学校教職員組合 山内富士生 書記次長)「(ある学級では)定員を大きく上回る12人。潰す特別教室を、すべて潰し尽くして、それでも足りないから、今は・・・私たち“圧縮学級”と呼んでいるが、定員を上回る子どもたちを押し込める」
足りない教室を、どう工面するか・・・。各学校が対応しています。 国は、『特別支援学校の設置基準』で、小・中学部は、1学級『6人まで』。高等部は、『8人まで』と、定めています。しかし、大阪府では教室が足りないため、定員を上回る子どもを、1つの教室に詰め込むしかないというのです。 (山内さん)「しんどくなってパニックになって、自分で自分を痛める自傷行為というか」「(生徒の増加で)事故につながるケースも聞いています」
なぜ!?近所の学校に通えない
また、近くの学校に通えなくなるという信じがたい事例もあります。大阪府熊取町に住んでいる、清時綾(きよとき・あや)さんと次男結生(ゆうい)君(12)です。 (母親・綾さん)「いま、何年生ですか?」 (次男・結生君)「(指で『6』と示す)」 (母親・綾さん)「6年生です」
結生君は、重度の知的障害があり、自宅近くの『佐野支援学校』に通っています。 (母親・綾さん)「学校、楽しいかな?友達と遊んで。おいしい給食も食べて」 (結生君)「塗り絵。塗り絵」 (母親・綾さん)「塗り絵とかしたん?」
(父親・忠吉さん)「(地域の学校だと)結生が入ると、いつも、慌てて焦って、間に合わなくて、(本人が)がっかりしないといけないので…支援学校が良いだろうなと判断したんですが」 結生君が、6年通った『佐野支援学校』。大人が歩いて20分ほどの近さで、『中学部』もあるのですが、結生君は4月から、別の学校に移らなければなりません。
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