【ABC特集】“玄関で授業” “廊下で体育 “定員を超えた詰め込み” 特別支援学校の教室不足 3年前の調査で“全国ワースト”の大阪府 「学校増やして!」と親と教師らが切実な訴え
『佐野支援学校』は知的障害のある子どもの学校で、小・中学部は、岸和田市から泉佐野市までを、『通学区域』としていました。しかし、児童・生徒が増えすぎたので、泉佐野市と熊取町の子どもは、『泉南支援学校』に通うようにと、通学区域が変更されたのです。熊取町の子どもは、佐野支援学校を通り越して、泉南支援学校に通わなければなりません。
(父親・忠吉さん)「まさか、途中から、ここに通えなくなるとは、夢にも思ってなかったんで」 (母親・綾さん)「こんなことが、地域の小・中学校であったら大問題ですよね。生徒数が増えたから、『よその市の学校に行ってくれるか?』なんて言われたら、えらい問題じゃないですか」
来月から、『佐野支援学校』に通えなくなる結生君。友だちと離ればなれになりますが、その事実を、理解できません。 (母親・綾さん)「年度始めはチックが出たり、年度替わりの環境の変化ですら、すごくストレスに感じる子なんです。学校が変わる、友だちも先生もガラっと変わる。どんな辛い思い、どんなストレスを抱えるんだろうと、親としてとても不安です」
教室不足を放置することは「もはや障害児に対する差別」
「支援学校を増やしてほしい!」。大阪のあちこちで、声が上がっています。 (支援学校の教師)「基準の倍以上の子どもたちが、狭い校地、校舎に詰め込まれています」 去年12月、東大阪市で親や子ども、教師らが、支援学校の建設を求めて、署名を集めていました。 (元教師)「(署名する人に)東大阪市は人口50万都市ですが、知的障害児の支援学校がないのですよ」「(学校を)ぜひ、作ってほしいと思ってね」
東大阪市には支援学校がありますが、身体障害の子どもを対象にしています。そのため、知的障害の子どもたちは、隣接する八尾市の支援学校に通っていて、八尾支援学校はパンク状態。2021年の調べでは、教室が40以上足りないと、明らかになっています。
(平野支援学校 杉本琢哉先生)「この状態を放置することは、もはや障害児に対する差別ではないでしょうか」 マイクを握る杉本さんは、大阪府立支援学校の教師です。 「この活動に校長を含めた教職員、多くの方が賛同していると思うんです。声にできないみなさんの声を、形にして取り組んでいるという自負みたいなものがあります」
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