世界3大スパークリングワインの一つ、カヴァの世界を堪能。その品種や歴史、そして魅力とは? ワインジャーナリスト浮田泰幸さんがスペインを訪ねてリポート
カヴァの可能性を広めるチャレンジングな造り手
「ヴィラルナウ」はスペインの貴族の一員であるヴィラルナウ家が興した由緒あるボデガ。1982年からは、シェリーの「ティオペぺ」で知られるゴンザレス・ビアス社の一員となっている。エステートはサン・サドゥルニ・ダノイアの最も標高の高い場所に広がる。「海抜は250mあります。標高の高さは良質なブドウを実らせるのに必要な昼夜の寒暖差があることを意味します」と、醸造・品質責任者のエヴァ・プラサス・トルネさんは言う。 このボデガの特徴を一言で言うなら、先進性である。モダンなデザインの建物、乾燥地のスペインでは極めて重要な水資源の保全など、サステナビリティへの取り組み、ワイン・ツーリズムの推進、そしてカヴァ造りにおいても現代のクリエイティブなガストロノミー(美食)に合わせるためのこだわりが込められている。 テイスティングした中から二つのアイテムを紹介しよう。 「ブルット・ナチューレ レセルバ・オーガニック2016」(日本未輸入)は、在来品種のマカベオ、パレジャーダに国際品種のシャルドネ(25%)、ピノノワール(5%)をブレンド。熟成期間は7年。カヴァらしさを残しつつ、その枠を超えた普遍的なおいしさを実現している。ナッツを思わせる香ばしい酵母香、熟れた洋梨のコンポートの香りにアーシーなトーンが厚みを加える。 「アルヴェール・デ・ヴィラルナウ バレル・ファーメンテッド2016」(日本未輸入)は、チャレロ100%。熟成期間は42か月。ベースワインの半分をクリ材の樽で熟成させることで複雑みを与えている。トロピカルフルーツ、ドライフルーツの香りに焼き栗を思わせるスモーキーなトーンが混じる。口の中でも香りと同様のコクを感じる。狩猟肉やキノコを使った料理と合わせたい。 (文・写真 浮田泰幸/ 朝日新聞デジタル「&Travel」)
朝日新聞社