なぜ元西武の”問題児”相内誠はRISEでの格闘家デビュー戦で屈辱の125秒TKO負けを喫したのか…今後の可能性は?
無意識のまま再度、立ち上がり、KOを宣言していた右ストレートで反撃を企てようとしたが、そこにまた左を合わせられてパンチの嵐。打ち合うことはできず両手で頭を抱える亀の甲羅状態になるしかなかった。「パンチか蹴りで倒して決める。考えていた通りの試合ができた」と自負する拳信王の左のアッパーカットを1発、2発と食らったところでレフェリーが割って入ってTKO負けを宣言した。せめてもの意地は10カウントを聞かなかったことだろうか。 「野球上がり(出身)で注目をしていただいた。『やるじゃん、こっち(格闘家)でいけるんじゃないの。センスあるねえ(という部分を)』という可能性をちょっとでも見せたかったが、不甲斐なく『これで格闘技をやっていけんの?』という試合をしてしまった」 準備不足を露呈した。右ストレートも膝蹴りも不発。なによりガードやボディワークを含めてディフェンス技術が欠如していた。練習拠点をTARGETジムに移して元J-NETWORKスーパーライト級王者でもある菅原勇介トレーナーの指導を仰いだのが1月下旬。わずか1か月の”突貫工事”で、ここまでできたことは評価すべきだが、たとえトップファイターではないにしろ8戦のプロキャリアがある相手にポテンシャルだけで勝てるほど甘い世界ではなかった。 それは相内も実感していた。 「ほんとにきつかったです。調子に乗って新しい挑戦と言ったものの、甘い世界じゃないのはわかっていたこと。どの世界に行ってもね。でも自分がやってみたかったことに挑戦した。それを後悔はしていない」 実は、今回、その急造準備の最中に怪我をしてトレーニングを中断する時期があった。8年間在籍した野球界から心機一転、覚悟の転身を決めたはずだが、そこにはまだ野球時代の感覚が残っていて、格闘技界では「それくらいならできる」という段階で、自らにブレーキをかけて練習をストップしてしまっていたという。 メンタルも含めてまだ格闘家になりきれていない。 対戦相手の拳信王も「気持ちは強い。やるなと思ったがパワーは感じなかった。もらったら、すぐに効いたってぶれる。すぐわかった」と指摘した。 RISEの伊藤隆代表も「プロの洗礼。もしかしたらこうなるかなとは考えていた。本人は記憶が飛んじゃったというが、もっと気持ちを見せて欲しかった」と注文をつけた。