来春RISEで那須川天心の”キック界卒業”「天心ファイナル」
キックボクシングの「RISE ELDORADO 2021」が2月28日、横浜アリーナで行われ、“神童”那須川天心(22、TARGET/Cygames)が挑戦者決定トーナメントを勝ち抜いてきた“好敵手”の志朗(27、BeWELL)を3-0の判定で下した。ダウンシーンはなかったが、“目に見えない”駆け引き、騙し合いを制しての“究極のキックボクシング”。試合後、天心は「キックにいる時間は残り少ない。無敗で去りたい」とファンに伝えたが、RISEの伊藤隆代表は、来年2月から4月の間にキック界からの”卒業試合”「天心ファイナル」の舞台を用意する構想を明らかにした。
「9分間の騙し合い」 天心が掲げたテーマに嘘偽りはなかった。 ダウンシーンはなかった。だが、スピード、パワー、テクニックに火花の散る魂…すべてがギュッと凝縮された“究極のキックボクシング”に横浜アリーナに集まったファンは魅了された。新型コロナの影響で人数が制限、大声を出す声援も禁じられている中、漏れたのは驚嘆のタメ息である。ジャッジの3人が揃って天心にフルマークをつけての3-0判定勝利。天心は、試合終了のゴングが鳴ると同時に勝利を確信したかのように右腕を突き上げていた。 「(試合時間が)短かったですね。あっという間、凝縮された時間だったと感じた。勝ててホッとしています」 “目に見えない”究極の心理戦があった。 公開練習ではボクシング練習を増やしていることを明かしていたが、第1ラウンドに天心が軸としたのはパンチではなくキックだった。 「作戦のひとつでした。僕のボクシング転向が言われている中でパンチを警戒しているのがわかっていたので蹴りをたくさん使った。パンチを警戒しているから反応が遅れるんです。いつも志朗君は蹴りをカットするけれど、パンチを警戒している分、カットが遅れていた。そこで先手を取れた。計算していました」、 ファーストコンタクトも左の前蹴りで、すぐさま高速のミドルをお見舞いした。インローを執拗に蹴り、再びミドル。試合後、志朗は「ミドルを蹴りながら下を見たり下を見ながらハイキックにきたり…同じ攻撃が二度こない。単純な打ち合いのできるレベルになかった」と語ったが、駆け引きで優る天心が試合をコントロールしていた。