「世間の声は気にしない」―山田孝之は「愛」のために生きていく
生まれ変わったら水になりたい
俳優デビューしてから、20年以上が経った。『WATER BOYS』(2003年)でドラマ初主演を果たして以来、絶え間なく映画やドラマに出演し、「ちゅらさん」「クローズZERO」「闇金ウシジマくん」「勇者ヨシヒコ」各シリーズなど、多くの代表作を持つ。 今まで演じたキャラクターに「嫌いな人は一人もいない」。 「(演じる人物を)信じて愛さないと、絶対できない。『こいつどうなの』って思ってたら、絶対よくない。訳分かんないことをして人にすごく迷惑かけているようなキャラクターでも、この人はなぜこうなったのかってことを考えるんです。台本になかったら、自分で過去を作る。この人はこういう家庭環境で育って、集団生活の中でこういうポジションにいて、そこで起きたこういう出来事をずっと引きずっている部分があって、人にこう接してしまうんだ、と。それを自分に落とし込むんです。そうするとめちゃくちゃに見える行動も理解できる」
多岐にわたる仕事をこなすなかで、いろいろな立場に立ってものを考えたり、怒りやいら立ちをコントロールできたりするのは、俳優として「この人だったらこうする」と長年想像してきた影響が大きいと考えている。 「お芝居をするというのはやっぱり、人のことを考えることだから」 演じている時には、もはや芝居という感覚はないという。 「自分はその人だと、自分に信じ込ませて、『今この感情だ』『これに対して激しく怒りが湧いている』と思って、怒る。そこに嘘はないんですよね。芝居という感覚じゃなく、その人としてそこにいる」 最後に「生まれ変わったらなりたいもの」を問うと、あらゆる役になる俳優・山田孝之らしい答えが返ってきた。 「水ですね。いろんな経験ができるじゃないですか。人の中に入ったり、水道管の中を通ったり、下水に流されたり、海に出たり、雲になって雨として降ったり、山に降ったらそこから山水になっていったり……。絶対必要なのに、すごく粗末に扱われてたりっていうのも面白いですし。人では到底見られないものが見られそうだから」