「世間の声は気にしない」―山田孝之は「愛」のために生きていく
10代半ばで上京し、仕事をし始めてしばらくは、いっぱいいっぱいになっていた時期もあった。 「人にもめっちゃ会うし、仕事もいっぱいあって、やらなきゃいけないこと、覚えなきゃいけないこと、全てが多すぎて、『やめて、見ないで、あんましゃべりかけないで』みたいになっていた。『面倒くさいこと多いから早く死なねえかな』ってずっと思ってたんですけど、それじゃ駄目だって。生きたいと思うには、人生を楽しむしかない。楽しむためにはどうしたらいいだろう。前向きに人に会って、もっと話をして、興味を持ってもらって、生きていこうと思った」 人と積極的に会うようになった今も、山田の日常は「けっこう一人」で、孤独は素敵だと思っている。 「仕事終わってちょっと飲む時も、一人で行きます。結局、お店の人とか常連さんとかどんどん仲良くなるから、もはや一人ではないんですけど。飯食おうとか飲もうって時、連絡しないんですよ。一人で飲んでるのが好きで。誕生日とか、ここ何年かは大勢集まってくれて、それはそれでうれしいんですけど。でも本当だったら、一人でカウンターで、『今日俺、誕生日だぜ』みたいに飲んでるほうが好きだな。寂しくないんです」
家に帰れば妻と子がいる。妻とは「君」と呼び合う。 「お互い、『君』って呼んでます。自然にずっとそうなっているだけです。息子のことは、ほとんど奥さんに任せてますよ。僕から(子どもに対して)ああしなさい、こうしなさい、というのはないですね、全く。結局本人の人生ですし、どう生きていくかは自分で決めることなんで」 「残りの人生があと3日だとしたら、どう過ごしますか?」という質問に、こんなふうに答えた。 「今日は、大好きな人たちとみんなでお寿司を食べます、酒飲みまくります。で、明日は家でグロッキー。ゆっくりします。『みそ汁作ってください』って言って。最後3日目は自分が死にたい場所に行きます。沖縄ですかね、やっぱり。生まれた地。木がいいな。木の横で死にたいです」