能登地震「携帯つながらない」 被災地の通信途絶 新技術で解消なるか #災害に備える
背景にあるのは東日本大震災の反省だ。この時は報道量の違いなどから、余るほど支援物資が届いた避難所がある一方、支援物資が不足する避難所もあった。IT DARTは2015年8月に設立され、さまざまな団体と協力して支援の状況を「見える化」する活動を続けている。 「すぐ近くに孤立した避難所や集落があっても、その情報を知らないがゆえに支援を届けられないとしたら、支援者にとってそれほど悔しいことはありません」 その上で、宮川さんはこう語る。 「災害時に役立つITソリューションを現場のニーズに応じて提供するのが私たちの役割ですが、通信インフラは既存のものを使わざるを得ない。通信キャリア各社には、より災害に強い通信網の整備を期待したいです」 通信はいまや電気や水道と並ぶインフラの一つ。特に被災地でその重要性は一段と高まる。能登半島地震で通信の途絶がもたらした課題は、今後の災害でも起こり得る。被災地での情報の孤立化を防ぐためのテクノロジーを活用した模索が続いている。
-------- 緑慎也(みどり・しんや) サイエンスジャーナリスト。1976年、大阪府生まれ。出版社勤務後、月刊誌記者を経てフリーに。科学技術を中心に取材・執筆活動を続けている。著書に『13歳からのサイエンス』『消えた伝説のサル ベンツ』、『認知症の新しい常識』、共著に『太陽系の謎を説く』、『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』『ウイルス大感染時代』など。新著に『超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る』(講談社、NHKスペシャル取材班との共著)