スタミナって結局、何? 疲れやすさを感じたら知っておきたいこと(専門家が監修)
スタミナ再定義③ 立ち直るチカラ
◎メンタルのスタミナ、レジリエンスとは? 起業家や経営者などのエグゼクティブは、日々のハードワークを精力的にこなすスタミナを備えている。そこには、フィジカル以外にメンタルの要素も関わっていそう。 「私が身近で接してきた多くのエグゼクティブは、カラダが多少疲れていても、心はつねに潑剌としている。心の回復力、つまりレジリエンスが高いという特徴があります」(認定レジリエンスマスタートレーナーの久世浩司さん) カラダが元気でも、心が折れたら何もできない。そこで必要なのがレジリエンス。3つの要素がある。 1つ目は回復力。一旦心が疲れたとしても、そこから速やかに復活して立ち直れるチカラ。狭い意味でのレジリエンスである。 2つ目は緩衝力。ストレスの元となるストレッサーを受けても、衝撃を受け止め、軽くいなせる力だ。 3つ目は適応力。突然の状況変化や突発的なトラブルに遭遇した際、柔軟に対応して自らの目標を鮮やかに成し遂げる能力である。 この3要素を備えていれば、心のスタミナがバージョンアップ。仕事にも家事にもスポーツにも、忍耐強く取り組めるに違いない。 ◎心のダメージから回復するチカラを養う 過剰なストレスに晒されると心が折れて意欲が下がり、何事にも積極的に取り組めなくなる。 それを防ぐにはストレスマネジメント(またはストレスコーピング)が求められるが、レジリエンスを身につけることと、ストレスマネジメントに違いはあるのだろうか。 「ストレスマネジメントとレジリエンスは非常に似た概念ですが、厳密には同じものではありません。現代を生きる限り、ストレスがあるのは仕方ないもの。 ストレスがある前提に立ち、心が傷ついたり、落ち込んだりしたときにどうやって元の状態に立ち戻り、いつもと変わらないパフォーマンスを発揮できるか。その点をより重視しているのが、レジリエンスなのです」 レジリエンスを上げれば、ストレスで膝をついても、カウント8で立ち直れるという自信がつく。 「ストレスでダメージを受けることがあっても何とかなると思えたら、多少リスクのある難しい仕事を任されても、自分ならできるという確信が持てます。ストレスに怯まずに、自己の成長が図れるようなチャレンジが続けられたら、人生はより豊かになります」
取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.884・2024年7月18日発売)