名勝負必至の4階級制覇王者・井岡一翔vs3階級制覇王者・田中恒成の日本人対決…勝つのはどっちだ?
だが、飯田氏は、「減量から解放されパワーの増した田中のスピードと回転力は最後まで止まらないのではないでしょうか。集中力が増して、いつもの粗さを露呈しないと思う」と見る。 もしそうなれば「田中の序盤のポイントの貯金が生きます。さらに終盤の田中のKO勝利もあるのでは」が飯田氏の予想である。 あえて名は伏せるが、逆に「判定なら田中。TKOなら井岡」との現役世界王者の予想もあった。手数と攻勢で田中がポイントを集めるものの、被弾リスクがあるので、井岡が中盤以降に徐々にダメージを与え、TKO勝利に持ち込む可能性があるとの見方だ。 今回の世界戦は、新型コロナの影響もあり、海外からジャッジを招くことはせず、オフィシャルは、すべて日本人で構成される。海外のジャッジの中には、あからさまな「手数優先」で、批判の嵐にさらされるような採点をつける人がいる。だが、日本人ジャッジは、基本的に採点基準に正確で「効果打優先」である。となると判定決着となった際に田中の手数と攻勢が必ずしも採点に反映されないケースも出てくる。ここは井岡のアドバンテージかもしれない。 結論として勝敗予想に白黒をつけることはできなかった。ちなみにブックメーカーのウィリアムヒルは、田中勝利が1.61倍、井岡勝利が2.30倍と、田中優位のオッズをつけている。 “カリスマ”辰吉丈一郎氏と薬師寺保栄氏のWBC世界バンタム級統一戦は、語り継がれる名勝負になった。畑山隆則氏と坂本博之氏のWBA世界ライト級タイトルマッチも見る人に感動を与えた。 意地とプライド。そして高度なテクニックが激突する井岡対田中の令和最高の日本人対決は、どんな名勝負になるのだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)