名勝負必至の4階級制覇王者・井岡一翔vs3階級制覇王者・田中恒成の日本人対決…勝つのはどっちだ?
ハイレベルな攻防が予想される4階級制覇王者vs3階級制覇王者のビッグファイト…。勝つのはどちらだろう。 ボクシング評論に定評のある理論派、元WBA世界スーパーフライ級王者、飯田覚士氏と意見交換した。まずは2人の戦力分析である。一致したのは、スタミナは互角、ディフェンス力と経験は井岡、スピードと回転力は田中という、それぞれの特長だ。パワーについては、飯田氏は、「パワーも互角あるいは減量から解放された田中が上。階級の差はない」という意見。この点は「フレームの違いがある」と見る筆者と食い違ったのだが、いずれにしろ、技術の井岡vsスピードの田中という構図で、両者の力に大差はない。 それゆえ飯田氏も「予想は難しい。五分の勝負」と言う。 問題は両者の戦略と試合展開だろう。 ポイントは2つある。 「序盤は田中が仕掛けていくでしょう。スピードと回転力を生かしたコンビネーションブローをサイドにステップを踏みながらガードの上からでも打っていく。井岡は打ち終わりにだけカウンターを狙い、ディフェンシブに戦う。田中のパンチは当たっても1発か2発。それでも手数の攻勢でやや田中が有利にポイントアウトを重ねると思います」 飯田氏は序盤に田中がペースを握ると見ている。 昨年の大晦日の指名挑戦者、ジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)との防衛戦でも井岡は序盤は手が出ずスピードと遠い距離からのパンチに翻弄された。ジャッジの2人は1ラウンドから4ラウンドまでを相手につけた。中盤以降にシントロンのスタミナを消耗させボディ攻撃に活路を見い出して逆転で判定勝利した。 井岡は、昨年と同様、序盤は田中に明け渡すのか。それとも前に出て最初からプレスをかけて対抗するのか。序盤の井岡の出方が一つの勝敗の分かれ目にはなる。もし序盤で田中がペースをつかんだ場合、井岡が中盤以降に“被弾癖”のある田中に、どこまでダメージを与えられるかが2つめのポイントだ。 「序盤を田中が有利に運ぶと中盤から井岡が出てきます。ここで井岡のキャリアと緻密さが発揮されます。一方の田中はディフェンスが課題で、粗さや無駄なパンチがあり被弾のリスクが出ます。この中盤からの競り合いがポイントになるのではないでしょうか」と飯田氏。 井岡はスーパーフライに階級を上げてから被弾のリスク覚悟のインファイトの殴り合いを果敢に仕掛けるようになった。井岡が「格の違い」「レベルの違い」をリングで体現するのであれば、中盤以降に早めに動くだろう。インファイトでも田中はアッパー、ボディ、左フックで対抗できるが、パンチをもらう確率は井岡よりも高い。ダメージを受けると一気に失速。流れが変わる可能性がある。