動物性食品の過剰摂取に要注意。腎臓の老化を抑える食習慣(専門家が監修)
乳製品はたまに口にする程度に
牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品にはリンが豊富に含まれている。外食では知らないうちに乳製品の入った食品を口にしていることも少なくない。そのうえ、カラダにいいからと毎日牛乳を飲んでいる、という人は要注意。理由はむろんリンの過剰摂取。 「育ち盛りで骨が成長する子どもはともかく、大人になって乳製品を毎日のように摂る必要はないと思います。40歳以降で骨のために何かを飲むとしたら、骨の材料のタンパク質源でリンも吸収されにくい豆乳をおすすめします」 カルシウムはヒジキなどの海藻でカバー。
タンパク質は動物性より植物性
タンパク質食品に漏れなくついてくるのがリン。よって吸収のよすぎる無機リンよりも有機リンを選ぶことが鉄則。 「無機リンをできるだけ控えるだけでも効果はありますが、有機リンの中にも動物性と植物性があって、植物性の方がさらにリンの吸収率が低いということも覚えておいてください。 動物性のリンの吸収率が30~40%としたら植物性のそれは10~20%です」 1日三食、毎日のおかずをすべて肉や魚の動物性食品で補うのではなく、選択肢がある場合は大豆製品などで補ってみる。たとえば朝は豆腐の味噌汁と納豆でスタートする、なんていう手もありだ。
ナッツ、卵、ホウレンソウをこまめに摂る
ミネラルのひとつ、マグネシウムに腎臓を守る働きがあることが、近年の研究で明らかにされつつある。 動物実験では糖尿病のラットにマグネシウムを与えると腎障害が抑制されたという報告があったり、ヒトを対象にした比較研究でも血中のマグネシウム濃度が低いグループはCKDの発症率が高かったという。 「マグネシウムを摂取することによって、リン酸カルシウムからCPPが合成されるのを抑制できると考えられています。私自身もマグネシウムや亜鉛をサプリメントである程度補充しています」 マグネシウム補給にはナッツ、卵、ホウレンソウ!
塩は精製塩ではなく天然塩に
腎臓の機能低下対策といえば、減塩。腎臓は体内の余分な塩分を排泄するので、塩分過多の食事はそれだけ腎臓の負担になるからだ。 現在の日本人の塩分摂取量の目標は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満。ところが令和元年の「国民栄養・健康調査」では男女平均の塩分摂取量は10.1gと過剰傾向。 「量を減らすことはもちろんですが、塩の質にこだわることも必要だと思います。精製塩は99%が塩化ナトリウムです。それに対して海水から作ったような天然塩にはナトリウムの他にマグネシウムやカリウム、カルシウムが含まれています。 腎臓の負担になるのは主にナトリウムですが、カリウムが入っていることでナトリウムの塩分負荷を打ち消せますし、他のミネラルの健康効果も期待できます」 今後は天然塩が大人の常識。
取材・文/石飛カノ(初出『Tarzan』No.880・2024年5月23日発売)