子どもにスマホを持たせたら伝えたい「こ・し・あ・ん」―SNSの性犯罪から守るために親ができること #性のギモン
学校がない夏休みは、中高生のスマホ利用時間が増える時期。保護者が気づかぬうちに、さまざまなトラブルにも巻き込まれることもあります。そうしたトラブルの一つが、SNSに関連した子どもの性被害です。ITジャーナリストの鈴木朋子さんに、子どもをSNSの性犯罪から守るため伝えたい標語「こ・し・あ・ん」について、具体的なお話を聞きました。(Yahoo!ニュース Voice)
昨年、SNSで性被害に遭った児童は全国で1812人
――現在、どのくらいの子どもたちが、どのようにSNSを利用しているのでしょうか。 鈴木朋子: NTTドコモ モバイル社会研究所が2022年4月に発表した調査結果では、小学生低学年の34%、小学生高学年の51%、中学生の90%がSNSを利用していることがわかっています。もっぱら友だちとの交流を目的にSNSを利用しているケースがほとんどです。最近は小中学生のInstagramやTikTokの利用も増えてきていますが、SNSの中でも、性犯罪被害が一番多いのは気軽にアカウントを作れるTwitterです。 ――SNSの性犯罪被害はどのくらい発生していますか。 鈴木朋子: 警察庁のホームページによると、2021年のSNSに関する性犯罪における被害児童数は1812人でした。10年前の2012年の被害児童数と比較すると、約1.7倍にも増加しています。 ――加害者はどんな手口で子どもに近づいてくることが多いのでしょうか。 鈴木朋子: 最も多い手口の一つは、少しずつ手なずけていく「グルーミング」です。最初は性的な話題に全く触れず、心を開かせるために優しく話しかけたり、悩み相談に乗ったりして仲良くなったあとに、直接会う提案や性交渉などを持ちかけてきます。子どもからしてみると、仲良くなった人から性的なお願いをされても、それが良くないことだとはあまり思わない。悪いことだとわかっている場合も、自分が仲良くなった人を責めてほしくないという気持ちが働いて、親や先生などの大人に打ち明けないケースもあります。 また、同い年くらいの子どもになりすまして「お互いに性の悩みを打ち明け合おうよ」などと提案して個人情報や写真を送らせて、徐々に距離を詰めてくるケースも多いですね。 ――ほかには、SNSの性被害にはどんなものがありますか。 鈴木朋子: 「性的な画像を送ってほしい」と言われて送ってしまった写真を悪用される「デジタル性被害」もあります。反対に、加害者側からわいせつな画像がいきなり送られてくるケースも含まれますね。また、明るみに出やすいのは女子の被害ですが、男子でも「ほしいものを買ってあげるからおいで」と呼び出されて性被害に遭ったケースもありました。