子どもにスマホを持たせたら伝えたい「こ・し・あ・ん」―SNSの性犯罪から守るために親ができること #性のギモン
スマホを持たせたら子どもに伝えたい「こ・し・あ・ん」
――子どもたちを守るために親は何をすべきでしょうか。 鈴木朋子: まずはスマホやアプリに搭載されている制限機能を活用しましょう。親が子どもの端末の利用制限をかける「フィルタリング機能」や、親のスマホから子どものスマホの設定を操作できる「ペアレンタルコントロール機能」のほか、各SNSが独自で対策している子どもを守る機能もあります。 ちなみに、被害に遭った子どもの多くは、フィルタリング機能をはじめとした端末やアプリにかけられる利用制限が適用されていなかったという話もあります。子ども専用のスマホを買い与える前に、親が以前使っていたスマホを持たせていて、親のIDを引き継いだままだったため、フィルタリング機能をかけていなかったというのです。親が子どもにスマホを貸すときは子ども用のIDを取得するなどして、子どもを守ってあげてほしいと思います。 ――子どもがSNSを利用するにあたって、どのような声掛けをした方が良いでしょうか。 鈴木朋子: お子さんとスマホやアプリを使ううえでのルールを決める際、ぜひ伝えてほしい標語として「こ・し・あ・ん」があります。 ■「こ」:個人情報を言わない 個人情報には、本名はもちろんのこと、個人が特定されてしまうような学校名や自分の年齢、住所、最寄り駅なども含まれます。こうした情報を教えてしまうと、学校や家の近くで待ち伏せされて誘拐されてしまう危険性があるからです。 ■「し」:写真を送らない 写真を送るのも、個人情報と同様の危険があると考えられます。また、直接的な被害はなくても、「近所に行って噂をばらまくよ」とか、「君が送ってくれた画像をみんなに見せちゃうよ」というような脅しの道具に使われることもあるので、要注意です。 ■「あ」:会わない 日頃からお子さんには「知らない人に会わないようにしよう」と伝えていると思います。そのため、「仲良くなったから会おうよ」といった漠然とした理由だと、子どももなかなか会いに行きません。しかし、性被害に遭う場合は子どもが好きなものを渡すことを口実にされるケースが少なくないため、「ものをあげると言われても会わないでね」などと、具体的なシチュエーションと合わせて伝えることも大切です。 ■「ん」:大人に相談 実際に被害に遭った場合、なかなか相談しづらいと考える子どもは少なくありません。そのため、子どもが相談しやすいように、良い親子関係を築いておくことはとても大切です。 ただ、どんなに仲が良くても親や先生などの身近な大人に相談できないこともありますから、相談窓口をさりげなく伝えておくのも方法の一つです。相談窓口の一例には、警察が行っている性犯罪・性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」や、デジタル性被害をはじめとした相談を受け付けているNPO法人「ぱっぷす」などがあります。 また、実際に子どもが被害を相談してきたら、「よく打ち明けてくれたね」と肯定することも非常に大切だと思います。被害に遭ったと知ると、「どうしてそんな画像を送ってしまったの」とか、「なぜ会いに行ってしまったの」と理由を問い詰めたくなってしまうと思うのですが、責めてしまうと勇気を出して相談してくれた子どもの拠りどころを奪ってしまうことになるので、絶対に避けてください。