「よく3回無事に帰ってこれた」野口飛行士がJAXA退職会見(全文2)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士・野口聡一さんは25日午後、都内で記者会見を行った。同氏は6月1日をもってJAXAからの退職を発表している。 【動画】宇宙飛行士・野口聡一さんが会見 6月にJAXA退職へ(2022年5月25日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「宇宙飛行士・野口聡一さんが会見 6月にJAXA退職へ(2022年5月25日)」に対応しております。 ◇ ◇
総合知の人材育成に求められるものは
Science Portal:JSTのScience Portalの記者で草下と申します。お世話になります。野口さん、冒頭のメディアへの熱いお話ありがとうございました。さて、質問ですが、いただいたメッセージの紙、拝読しまして、深いこと書いていただいてるんですが、この中で「未来を担う、総合知を備えた人材育成教育に尽力したい」というふうに書いていただきました。この総合知ですけれども、人類の予測可能な未来のために縦割りではなくて専門領域を超えた総合知が大事だと言われていて、そういったことのための人材育成というと、総合知の人材育成というと、今、野口さんのご見解とかお気持ちとしては、どういうことが求められるとか、どういうものが必要だとか、その総合知の人材育成の思いというのを多少なりとも語っていただければと思いますが、いかがでしょうか。 野口:分かりました。ありがとうございます。たぶん3時間ぐらいで話せると思うので、手短に。総合知、すごく狭い言い方をすると、どうしても、私自身は理系人間ですので理系、工学、理学みたいな縦割りでやってきた専門教育にとらわれずに、いわゆる文理融合みたいな言い方をしますけども、いろいろな分野の興味を総合的に理解して、それをウィズダムに昇華していくというところの試みだと思ってます。
先輩たちの試みを自分なりに深めていきたい
例えば、なんて言うんですかね、私も今、大学で一緒にやらせていただいている文理融合の当事者研究みたいな立場。健常者と障害者、あるいはアスリート、そういった極端な経験の中で得られる知見っていうのはなんなのかというようなところも、それにつながってくると思いますし、例えばわれわれの先輩の毛利さんも、毛利さんなりの言い方で、ユニバソロジみたいな言い方で、総合的な知の世界を探究していくと。 私自身は、直接影響を受けたというか、宇宙飛行士を目指すきっかけになってるのが立花隆先生。昨年、残念ながらお亡くなりになりましたけども。立花先生との対話の中で、やはり宇宙体験という極めて希有な体験が人間の中に、内面世界にどういう影響を与えるのかっていうのを突き詰めて議論させていただいたっていうのが、今、ある意味アカデミックに総合知を探究するきっかけになってますので、やはりそういった先輩たちの試みというのをつないで、自分なりに深めていきたいなと思ってます。 Science Portal:ありがとうございます。いずれ3時間伺います。よろしいですか。 野口:ありがとうございます。 Science Portal:ありがとうございました。 司会:ありがとうございます。