【アンティーク・ヴァイオリンをめぐる冒険】みなで分かち合う、歓びの歌
ヴァイオリニストの荻原緋奈乃。石田から楽器を貸与されてから、日本音楽コンクールで入選(2023年)、クレモナ国際ヴァイオリンコンクールで最終選考に残る(2024年)など、めざましい活躍が続く。
石田のあとに続くアンティーク・ヴァイオリンのオーナーは、少しずつだが増えている。富裕層が芸術家を支えるパトロネージュを日本でも根づかせるべく始まったこのプログラムを、三越伊勢丹外商統括部で担当する鵜篭(うごもり)威行は、「壮大な目標だが、すでにその文化が芽生えたと言っても過言ではありません」と手ごたえを語る。楽器を紹介したとき、人々の健康のために心を砕いてきた石田から聞いた、次の言葉が心に染みたという。「この楽器が奏でる美しくて心を豊かにしてくれる音楽を、ぜひ多くのみなさんと分かち合いたいです」 BY MAKIKO HARAGA