ドル円レートが狭いレンジで推移 なぜ為替変動が縮小?
内外金利差は当面変化がないとの予想
現在の日本(円)の金利は、日銀の金融緩和によって短期金利(一部はマイナス0.1%)はおろか、10年国債金利ですらゼロに抑えられており、そしてこのゼロ金利は当分の間変わらないとの見方が広く共有されています。これは米国も同様です。政策金利であるFF金利(短期金利)は0%近傍に設定されており、こちらも当分変わらないとの見方が広く共有されています。 つまり為替取引における重要な要素である内外金利差は、その絶対水準が低いばかりでなく、当分の間、変化も予想されていないということです。これが為替変動の小さくなった主因と考えられます。 なお、為替変動の縮小は日本経済にとってプラスの影響が大きいと考えられます。海外事業に注力する企業が抱く先行き不透明感払しょくに繋がるからです。為替が1年で20%も動く世界では、経営陣が収益見通しを立てにくく、それが企業のリスク回避姿勢を強めてしまう傾向があります。そうした意味において、為替の安定はコロナ禍における不幸中の幸いとも言えるでしょう。
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