城氏が語るアジア杯の森保J「突きつけられた厳しい現実と埋まらない控え組との差」「決勝Tサウジ戦は危うい?」
森保ジャパンは、アジア杯のグループステージを3勝0敗で終えて1位で決勝トーナメント進出を決めた。昨年のW杯後にスタートした森保ジャパンは、新しいメンバー構成で、親善試合を4勝1分けと負け知らずで進撃。大きな期待を寄せられて、初の公式戦を迎えたが、“足踏み”とまでは言わないが、アジアの中での現実を突きつけられた大会となっている。 ウズベキスタンとの第3戦では、1、2戦のレギュラーメンバーからスタメンを10人も入れ替えた。まさか総替えで挑むとは思わなかった。リスクのある選択肢だったが、決勝T進出が決まっていた事情も手伝い、主力の休養、控えの経験、チームモチベーションの維持、選手の見極めなど、先を見据えてチームとして戦略的な狙いを優先させたのだろう。森保監督には、どこかで2位抜けでも構わないとの意識もあったのかもしれない。 結果的に2-1で逆転勝ちし、1位通過を決めたことは評価すべきだが、主力を5人入れ替えてきたウズベキスタンを相手に試合内容は決して褒められるものではなかった。攻守において組織力や連携といった部分が見られなかった。初のスタメン起用となる人の組み合わせに高いレベルでの連携を求めるのは無理があったのかもしれないが、レギュラー組との差は歴然で、「森保ジャパンはグループとしてこう戦うんだ!」というチームコンセプトが浸透していなかった。 攻撃面で言えば、連携での崩しはなく、個の力で得点したに過ぎない。足元で受けてカットインしてシュート。それぞれがアピールしたかったのかもしれないが、そういう個人技が目につき、特に左サイドはまったく機能していなかった。 サイドで受けた乾がカットインして意図的に真ん中をつき、狭い局面でワンツーを仕掛けるなど、ワンタッチでボールを動かした。ディフェンスをこじ開けようとチャレンジはしていたが、出し手と受け手のタイミングが合わない。サッカーは感覚の占める部分が多いスポーツ。乾と北川の“息”は合っていなかった。 なんとか、室屋、伊東が右サイドを崩してチャンスを作り、前半43分には、室屋が右サイドで勝負してクロスを入れ、マークを外してフリーになった武藤がヘッドで、代表では3年3か月ぶりとなる同点ゴールを決めた。だが、武藤自身も物足りなさを感じていたのではないだろうか。 武藤は、典型的なゴールゲッター。ボールがくれば仕事ができる、周りに生かしてもらうタイプのストライカーだ。プレミアでプレーすることで確かに成長していて、ボールを受けるオフ・ザ・ボールの動きには工夫があり、見るべきものがあったが、肝心のボールが供給されなかった。伊東も、右サイドから切り込んで、積極的にクロスを上げたが、どこで誰がもらうのかのチームコンセプトが、ハッキリとしていなかったのである。