冨士眞奈美「70代半ばで車の免許を自主返納。昔は黄色のカマロで娘を連れまわしていたのに、今やすべての主導権は娘に」<冨士眞奈美×岩崎リズ>
現在86歳の冨士眞奈美さんの体調や生活を案じる、娘の岩崎リズさん。冨士さんはそんな彼女に感謝しながらも、普段の振る舞いには少し不満があるようで……(構成=内山靖子) 【写真】生まれたばかりのリズさんを抱く冨士さん * * * * * * * ◆免許を返納して関係が逆転 リズ 常識にとらわれないのはママのいいところだと思うけど、行動がいつも唐突なのよ。私が28歳のとき、何の相談もなく「ひとり暮らしをしなさい」と家を追い出されたし。 冨士 いずれ結婚したらイヤでも家事をしなきゃならないから、学生のうちはラクさせてあげようと家のことはすべて私がやっていた。でもあるとき、自立させなきゃいけないと思ったのよ。 リズ 私が何より驚いたのは、ママが70代半ばで車の免許を自主返納したこと。 冨士 道を歩いていて、急に思い立って警察に返納に行ったの。 リズ 衝動的すぎる。車がまだうちの車庫にあったのに。 冨士 そう。そのときはせいせいしたと思ったんだけど、やっぱり車がないと不便だった。 リズ ちょっとタイミングが早すぎたんじゃない? 車を運転しなくなってから、すっかり出不精になったでしょう。以前は、週2回は伊勢丹に食事や買い物に出かけていたのに。今は私が誘っても、「腰が痛い」と言って動こうとしない。 冨士 電車やバスに乗るのも面倒なのよ。かといって病院を連れ回されるのも疲れるし。
リズ 私たちの関係も逆転したよね。左ハンドルのアメ車をバリバリ運転していた頃は、常にママが船長だったけど。 冨士 そう、黄色のカマロとかね。私が「伊勢丹に行くわよ!」って号令をかけると、「はいはい」ってあなたがついてきていたのに、今やすべての主導権を握っているのはあなた。私は何をしても叱られる……。 リズ 叱ってないって。ママは突発性難聴を患って以来、左の耳が聞こえにくいから、大事なことはあえて大声で話しているだけなのよ。 冨士 いいえ、ゴミの出し方ひとつとっても、「そうじゃない」って怒鳴るでしょう。誰があなたのオシメを替えたと思っているのよって言いたいわ。 リズ オシメを替えたのなんて、たかだか2~3年の話でしょう。こっちは何十年も、ママのペットボトルの捨て方にイライラしているんだから。 冨士 あら、そんなつまらないことで。 リズ 私にはこだわりがあるの。まずラベルをはがすでしょう。次に専用のハサミでキャップまわりのリングを切って外す。水でゆすいで乾燥させたら、踏み潰して平らにしてゴミに出す。 冨士 なるほどねぇ、とは思うけど、そんなことをいちいち人に強要していたら、小うるさい女だと思われるわよ。 リズ たしかに若干、神経質なところがあるのは認めます。 冨士 私にもこだわりはあるわ。私は知り合いに葉書を送るのが好き。でも、あなたはそれを「時代遅れ」って言うじゃない。相手のことを思って書くのが楽しいから、やっているだけなのに。 リズ 手紙を書くことは否定していないよ。ママは腰が痛いから、葉書をポストに投函しに行くのも一苦労でしょう。うっかり転んで、また骨折でもしたら大変。しかも救急車は絶対に呼ぶなと言うし。「これからポストに行ってきま~す」と電話がかかってくるたびに心配で、つい言葉がキツくなっちゃうの。決して責めているわけじゃない。 冨士 もう少し優しい言い方があると思うのだけど。結局、母と娘の関係って永遠の片恋なのよ。母から娘への。だから私は、何を言われても逆らわずに黙って聞き流してる。子どもを産んで本当によかったとは思っているけれど、母親ってひたすら我慢して生きる宿命なのよね。
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