「極度の運動オンチ」だと思っていたら“発達性協調運動障害”だった 診断に辿り着くまでの小学生息子と母の苦悩
■「ウノはダメな人間なんかじゃない」と明るく声をかけた ――診断を受けた後の、ウノくんの反応はいかがでしたか。 私自身は診断結果にショックは受けたものの、息子を助ける手がかりが、ようやく見つかったという希望を感じていました。 でも息子は、「ぼくは病院にいくほど、ダメなのかも?」と、少ししょんぼりしていましたね。「ウノはダメな人間なんかじゃないよ。DCDは生まれつきの障害で、ウノはちっとも悪くない。ちょっとやり方を変えてみようよ!」と明るく声をかけるようにしました。 ――具体的に、どんなことを変えていきましたか。 学校に許可をもらって、鉛筆を握りやすくて濃い芯のシャープペンシルに変えました。ウノは書きやすいと喜んでいましたね。リコーダーは、穴がうまくおさえられなくて困っていたので、穴にシリコン弁がついている特別なタイプのものに替えました。読書は大好きなのに、いざ書くとなると手が止まってしまっていた作文は、下書きをパソコンでするように変えてみました。すると、文章がするすると出てくるようになったんです。 ■運動会でまさかの「ウーノ!ウーノ!」の応援コール ――診断後、しばらくして、ウノくんにどんな変化がありましたか。 以前は運動会をすごく嫌がっていたのに、「運動会、楽しみだな~」と言い出し、しかもソーラン節で大漁旗を持って走る係に立候補して選ばれたと聞いたときは、本当に驚きました。 徒競走では息子に対して「ウーノ!ウーノ!」と応援コールが起こって、「一体何が起きているの?」と思うほど。担任の先生がウノについてフォローをしてくださったことで、周りの子どもたちとの関係の変化も感じました。もっと早く診断を受けていたら……という気持ちもありますが、何よりうれしかったのは、ウノが本来の明るさを取り戻してくれたことでした。 ■「運動が苦手」との違いは「生活に困りごと」があるかどうか 【古荘純一先生(小児精神科医)のコメント】 DCD(発達性協調運動障害)とは、協調(運動)をコントロールする脳機能に問題があり、生活に困りごとが生じる障害です。DCDの有病率についてWHOの診断概念では、5~11歳の子どもの5~6%だと言われ、最大10%の子どもにDCDの可能性があり、学業や社会的機能に影響を与えかねない可能性が指摘されています。