日銀・黒田総裁会見12月18日(全文1)必要な時点まで金融緩和を継続
足元の企業の資金繰り状況をどう見ているのか
共同通信:2点目、お願いします。ご説明があった、いわゆるコロナオペの半年延長についてお伺いします。これまでのコロナオペの効果ということで、延長の狙いに加えて、14日の短観でも示されましたけれども、足元の企業の資金繰り状況をどのように見ておられるのか、ご見解をお願いします。 黒田:日本銀行が、この感染症への対応として、企業等の資金繰りを支援するために行っている、いわゆる特別プログラムは、政府の施策や金融機関の積極的な取り組みとも相まって効果を発揮しております。CP・社債の発行や銀行借り入れなどの外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されております。 もっとも、12月短観の資金繰り判断DIは感染症拡大前の水準をなお下回っており、企業等の資金繰りには依然として厳しさが見られます。先行きも感染症への警戒感が続く下で、経済の改善ペースは緩やかなものにとどまり、企業等の資金繰りにも当面ストレスがかかり続けることが予想されます。こうした状況、情勢を踏まえて今回の会合では引き続き企業等の資金繰りを支援していく観点から特別プログラムの期限延長と運用の見直しを決定しました。日本銀行としては今後も企業等の資金繰りをしっかりと支援していく所存でございます。
特別当座預金制度に対する批判への見解を聞きたい
共同通信:幹事から最後に、先月の通常会合で決定された「地域金融強化のための特別当座預金制度」についてお伺いします。一定条件を満たした地銀などに対する特別付利については、日銀は金融政策ではなくプルーデンス政策であると、また政府の認可事業であるという立場を取られています。一方で市場ではマイナス金利政策の副作用を和らげる効果を狙っているとか、日銀の判断に金融機関を選んで事実上の補助金を出すことが中銀の裁量を逸脱しているとか、そういった批判があります。こうした批判に対する総裁のご見解をお願いします。 黒田:まずこの「地域金融強化のための特別当座預金制度」というこの制度は、金融政策としてではなく、金融システムの安定確保という日本銀行の目的達成の観点から地域金融の強化が必要と判断して実施するものであります。その上で本制度では経営基盤の強化に向けた取り組みを実際に行った地域金融機関に限って付利を行うこととしておりまして、個別先への収益支援が目的ではなく、そうした前向きな取り組みを行うインセンティブを与えるという仕組みであります。 従いまして先ほど来申し上げておりますとおり、あくまでも金融政策としてではなく、金融システムの安定確保という観点から地域金融の強化が必要と判断して導入することを決めた制度であります。 共同通信:幹事からは以上ですが、記者の皆さんにお願いがあります。総裁はこのあと官邸での会議に出席のため、16時半少し前にはこの会場を出なければなりません。ご留意願います。