日銀・黒田総裁会見12月18日(全文1)必要な時点まで金融緩和を継続
景気は厳しい状態にあるが持ち直している
次に経済・物価動向について説明します。わが国の景気の現状については、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から、引き続き厳しい状態にあるが、持ち直していると判断しました。やや詳しく申し上げますと、海外経済は一部で感染症の再拡大の影響が見られますが、持ち直しています。そうした下で輸出や鉱工業生産は増加を続けています。また、企業収益や業況感は大幅に悪化したあと、徐々に改善しています。一方、設備投資は減少傾向にあります。雇用・所得環境を見ると、感染症の影響が続く中で弱い動きが見られています。個人消費は飲食、宿泊等のサービス消費は依然として低水準となっていますが、全体として徐々に持ち直しています。金融環境としては全体として緩和した状態にありますが、企業の資金繰りには厳しさが見られるなど、【(音飛び) 00:07:32】低下した状態となっています。 先行きのわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいく下で、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調をたどるとみられます。もっとも、感染症への警戒感が続く中で、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられます。その後、世界的に感染症の影響が収束していけば、海外経済が着実な成長経路に復していく下で、わが国経済はさらに改善を続けると予想されます。
量的・質的金融緩和を継続
物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は感染症や既往の原油価格下落、Go To トラベル事業の営業などによりマイナスとなっています。【(音飛び) 00:08:26】弱含んでいます。先行きについては、消費者物価の前年比は当面感染症や既往の原油価格下落、Go To トラベル事業の影響などを受けて、マイナスで推移するとみられます。その後、経済の改善に伴い、物価への下押し圧力は次第に減衰していくことや、原油価格下落の影響などが剥落していくことから、消費者物価の前年比はプラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えられます。 リスク要因としては新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさといった点について、極めて不確実性が大きいと考えています。特に、このところの内外における感染症の再拡大による影響に注視が必要です。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持される下で、金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要です。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。 また、引き続き新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムや、国債買い入れやドルオペなど、円資金および外貨の上限を設けない潤沢な供給、ETFおよびJ-REITの積極的な買い入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていきます。 その上で当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じます。政策金利については現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定しています。以上です。