日銀・黒田総裁会見12月18日(全文2)何よりもこの感染症の収束を願っている
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の18日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が記者会見(2020年12月18日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が記者会見(2020年12月18日) ◇ ◇
気候変動は実体経済に影響与える重要な要素
黒田:それから2番目の脱炭素社会の話につきましては、ご案内のとおり、日銀も例の中央銀行と金融規制当局が入っているこの気候変動の金融機関へのリスクというものを検討するNGFSっていうんですか、気候変動リスクに係る金融当局ネットワークという【Network of Central Banks and Regulators 00:24:52】ですか。for Greening the Financial Systemっていう大変立派な名前のあれなんですけども、これにもうすでに参加して、各国の当局者と意見交換を進めておりまして、もちろんCO2削減、気候変動対策、環境対策自身はどこの国でも政府が行う政策分野ですけれども、やはり気候変動が実体経済さらには金融システムに影響を与える重要な要素になっているということは事実でありますので、これは中央銀行としての使命にも関係してくるということで、先ほど申し上げたNGFSにも加盟したわけですし、引き続き物価の安定と金融システムの安定という使命に即して調査、研究、あるいは金融面のリスク把握など、必要な対応を行っていきたいというふうに考えております。どうぞ。
コロナ感染拡大で物価は一段と下押しか?
テレビ東京:テレビ東京の大江です。よろしくお願いいたします。今日発表されました11月の消費者物価指数、生鮮食品を除く総合でマイナス0.9%ということで、およそ10年ぶりの下落幅になったわけなんですが、今、第3波といわれているこのコロナの感染拡大状況が続いて、長引いてきている状況ですよね。これによって物価は一段と下押しされるというふうにみていらっしゃるでしょうか。また、この物価の下落というのは円の価値を実質的に高めることにもなりますので、為替市場で円高の圧力を招かないかどうかと、この辺りも気になるんですが、どうみていらっしゃるのか、これが1問目です。 そしてもう1問は、12月ですので2020年を振り返っていただきたいんですけれども、コロナによって世界中の金融政策も大きく影響を受けて変化してきた1年だったと思いますが、日銀、そして黒田総裁はコロナとこの1年間どう戦ってきたでしょうか。教えてください。 黒田:確かに消費者物価の前年比が、先ほど来申し上げたように感染症や既往の原油価格の下落、Go To トラベル事業の影響などによってマイナスとなっているわけであります。もっとも、こういったエネルギー価格の下落やGo To トラベル事業による宿泊料の割引といった一時的な下押し要因を除きますと、このところ小幅のプラスで推移しておりまして、経済の落ち込みの大きさに比べると底堅い動きとなっております。 先行きの消費者物価につきましても、当面、前年比マイナスで推移したのちに、一時的な下押し要因が剥落して、経済が改善していく下で、前年比プラスに転じて徐々に上昇率を高めていくというふうにみております。従いまして、物価が全面的、全般的かつ持続的に下落していくというデフレに陥るということは、そういう恐れは低い、ないというふうに思っておりますけれども、なんと申し上げましても、この感染症の影響につきましては非常に大きな不確実性があると。 一方で最近ワクチンに関して、かなり前向きの情報が流れておりまして、ワクチンがスムーズに接種されていけば、感染症というものも収束に向かうという可能性があるわけですので、感染症につきましては不確実性は大きいというリスクは依然としてあると思いますけれども、必ずしもこういう状況がいつまでも続くということはないと思います。ただ、それにしてもいつ収束するのか、それからそれの影響がどういうものかというものにつきましては、やはり不確実性が大きいので、その物価に対する影響についても十分注視してまいりたいと思っております。