日銀・黒田総裁会見12月18日(全文1)必要な時点まで金融緩和を継続
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の18日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が記者会見(2020年12月18日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が記者会見(2020年12月18日) ◇ ◇
点検結果を政策運営にどう生かすのか
共同通信:総裁、よろしくお願いいたします。12月幹事の共同通信、【イノウエ 00:01:41】といいます。本日の金融政策決定会合の決定内容についてご説明をお願いします。とりわけ物価安定目標の実現に向け、持続的な緩和政策の点検についてお願いします。この点検に当たっては、現状政策の枠組みを変更しないとあえてうたっておられます。点検結果を今後の政策運営にどのように生かしていかれるのか、また、なぜこのタイミングで決定されたのか、ご説明お願いします。 黒田:日本銀行は新型コロナウイルス感染症の影響により、経済【(音飛び) 00:02:19】長期間継続すると予想される状況の下で、経済を支え、2%の物価安定の目標を実現する必要があるとの認識から、本日の決定会合において次の2つのことを決定しました。 第1に、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムについて【(音飛び) 00:02:43】21年9月末までとするとともに、運用面の見直しを行うことを全員一致で決定しました。見直しの具体的な内容は、CP・社債等の増額買い入れについて、それぞれ7.5兆円ずつとしていた追加買い入れ枠を合算し、市場の状況に応じてCP・社債、いずれにも配分しうる形とすること。また、新型コロナ対応特別オペの対象となる中小企業等向けの新型コロナ対応融資のうち、プロパー融資について1金融機関当たりの上限1000億円を撤廃することの2点です。
必要があればさらなる延長も検討
今回の措置は先行きの経済の改善ペースが緩やかなものにとどまり、企業等の資金繰りにも当面ストレスがかかり続けると予想される下で、引き続き企業等の資金繰りを支援していく観点から決定したものです。なお、今後の感染症の影響を踏まえ、必要があればさらなる延長を検討します。 第2に、本日の会合では2%の物価安定目標を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行い、来年3月の会合を目途にその結果を公表することを決定しました。以下、その趣旨について敷衍して説明します。 2016年9月の総括的検証を経て導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和は現在まで適切に機能しています。感染症への対応についても、この枠組みの下での3つの柱による強力な金融緩和が効果を発揮しています。しかし、感染症の影響により、この先、経済・物価への下押し圧力は長期間継続し、2%の物価安定目標の実現には時間が掛かることが予想されます。こうした状況を踏まえ、2%の目標を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととしました。 具体的には長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みを前提とした上で、イールドカーブ・コントロールの運営や資産買い入れなどの各種の施策について、点検を行います。これまでも随時見直しを行ってきましたが、点検の結果2%の目標の実現に向けて効果的、持続的に金融緩和を行っていく上でさらなる工夫ができるのであれば実施したいと思います。 なお、当然のことながらこれまで日本銀行がコミットしている点、すなわち2%の物価安定目標や、それに向けたオーバーシュート型コミットメントを見直すことはありません。また、金利水準については現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移するという方針であり、マイナス金利を見直すということもありません。 以上が本日決定のポイントです。なお、本日の決定会合では長短金利操作の下での金融市場調節方針は賛成多数で、ETFおよびJ-REITの買い入れ方針については全員一致でこれまでの方針を維持することを決定しました。