浦和レッズ”18歳の秘密兵器”GK鈴木彩艶がベールを脱ぐ…ルヴァン杯で無失点デビュー
結果的にミスキックとなった、見逃されてしまいがちな一撃がなぜベストのプレーだと感じたのか。答えは浦和レッズユースに所属しながらトップチームに2種登録され、年間を通じて参加した昨シーズンの練習やトレーニングマッチで鈴木が募らせてきた歯痒さにあった。 「去年は(ロングキックに)トライできなかった。自分の強みが強みでなくなってしまった、というところにトライできたので一番よかったと感じました。ただ、マイボールにはならなかったので、そうした部分の質はもっと高めていかないといけない。攻撃の組み立てにゴールキーパーも参加するトレーニングをずっと続けてきたなかで、今日は(パスが)近場の選手たちばかりになって、自分の特長であるロングキックを上手く生かせなかった、とも感じています」 ロングキックだけではない。低く速い軌道でハーフウェイライン付近にまで到達させられる、正確無比なスローイングを生み出す強肩ぶりも2年前のU-17ワールドカップで脚光を浴びた。オランダ、アメリカ、セネガルをすべて無失点に封じ、日本のグループD首位通過の原動力にもなった俊敏さとしなやかさ、力強さを融合させた豪快なセービングも最後尾で頼れる存在感を放った。 ゴールキーパーの本質が問われるセービングに対しても、特に後半41分の決定機阻止へ質問が飛んだ。返ってきたのはまたもや意外な言葉だった。オリベイラのシュートの直前に平松が放ったフリーキックを、本来ならば果敢に飛び出してキャッチすべきだったとミスを認めたからだ。 「ただ、ミスをしても最後までしっかりとプレーし切ることに、トレーニングからずっと取り組んできました。実際の試合でもミスの後のプレーを大事にできて、本当によかったと思っています」 ボールの落下点へ飛び出す動きをためらった。それでも後に引きずらず、すぐに周囲の状況を見極めてポジションを修正したからこそ、オリベイラのシュートにとっさに反応できた。メンタル面でも進歩をとげた跡が、スコアレスドローを手繰り寄せたビッグセーブに反映されていた。