なぜ日本ボクシング連盟は「サンデーモーニング」張本氏の“女子ボクサー蔑視発言”に訂正求める抗議文を出したのか…TBS反応は?
「競技を通じて『痛み』を知っているからこそ、他者を尊重し、人に対して優しくできるのではないでしょうか。男性だから、女性だから、ではなく、ボクシング競技を通じて『人間力』が養われた結果であると考えております。 このようにボクシング競技が単純な、暴力的な殴り合いではないこと、技術を駆使した競技であることをご理解いただき、また女性だからそんな競技に取り組むべきではないという、多様性を否定するような番組内でのご発言を、視聴者の皆様に対して、訂正をしていただきたく、文書を発させて頂きました」と、謝罪ではなく発言内容の訂正を求めた。 張本氏は、過去にも数々の発言で物議を醸し出してきた。五輪競技で言えば、東京五輪から新種目として採用されたバスケットの3×3に対しても、「何が面白いのかね。オリンピックに出るような種目じゃないと思うけどね」と問題発言をしたが、個々の選手がSNSで抗議をしたことはあっても、統括する協会などからのオフィシャルな抗議はこれまであまりなかった。 今回、日本ボクシング連盟が異例の行動に出たのには理由がある。競技人口が減少傾向にあるボクシング界にとって、女子ボクシングは人気回復のひとつの切り札であり、そのためには注目を集めるための金メダルが必要と、ジュニア世代からの育成に手をかけ、強化合宿を定期的に重ねた。 強化合宿や海外遠征費用もすべて連盟が持ち、加えて、かつて五輪出場を目指した南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代氏に強化委員&普及委員就任を依頼するなど広報活動にも取り組んできた。2年前から関東大学リーグの女子トーナメントがスタートするなど、女子ボクシングの普及と強化に尽力してきた。今回、その成果として入江が金メダル、フライ級では並木月海(21、自衛隊体育学校)も銅メダルを獲得。歴史的な偉業を成し遂げた。 2人のメダリストも、この結果が、今後の女子ボクシングの競技人口増加につながり、女子レスリングや女子柔道のような競技としての認知度を得ることを願っている。 入江も「2人のメダルをきっかけに女子ボクシングを少しでも知ってもらい、したいなあという人が、小さい方でも主婦の方でもいいので出てくれば頑張って良かったなと思う。競技人口の拡大にも頑張って行きたい」と誓い、並木も「自分と入江がメダルを取ってから、SNSで『娘がやりたいと言っている』と連絡がきたりして嬉しく思っている。今後、もっと盛り上がるように頑張っていきたい」と語った。