GMOサイバーセキュリティ byイエラエ 福森大喜の「リトル福森」との出会い
言葉のたとえになるがこれはまるで、署内で銃を発砲するような、何か映画『ランボー』第一作の警察署脱走を彷彿とさせるようなほっこりエピソードである。これほど気持ちが明るくなり心温まるセキュリティに関わる話を記者はかつて聞いたことがない。おそらく今後もないだろう。この行動で福森は「使える奴」と短期間で周囲に認めさせることにも成功した。
しかも大事なことだが、これらのエピソードは何一つ盛られていないのである。そこらのおっさんの自称「武勇伝」とはそこが違う。実際に会うと福森はむちゃくちゃ謙虚な人物だ。最後に会ったインタビューから約 8 年を経て、まさか CDI ではなく GMOサイバーセキュリティ byイエラエのメンバーとして、記者が再び福森のインタビューをする日が来るとは思いもよらないことだった。
● オープンソース活用で FBI を超えるフォレンジックを
インターポールでの仕事についてもいろいろ話を聞いたが、その中で、概要だけでもどうしても記しておきたいエピソードがあったので、メモとしてここに残しておきたい。
組織規模も予算も大きい FBI のような組織と異なり、わざわざ インターポールを頼って訪ねて来るような国は、GDP の低い、決して豊かではない国が多いという。アフリカの各国やバングラデシュなどのサイバー犯罪捜査支援を行うことが、インターポール時代の福森の業務の重要な一部であった。
豊かではない国のサイバー犯罪捜査官たちの多くは、同時に引け目や劣等感を持っていたという。単に FBI が使っている EnCase(高価なフォレンジックツール)を買えないという事実だけでなく、その事実と国家としての自己肯定感の低さが結びつく回路が心に焼き付いているのだ。福森はだから、たとえおまえらが EnCase のライセンス料など払えなくても、オープンソースを活用することで、同水準あるいはそれ以上の調査を行うことは誰にでもできるという事実を証明して見せた。「オープンソースで誰でもできる 福森大喜 フォレンジック講座 in ガーナ」堂々開講である。EnCase に頼り切って思考能力が低下している FBI エージェントが見落とすような証拠を見つける技術をあえて体験させた。ときに有給をとって休んでまで彼らの指導にあたったこともあるという。なんだか、金属バットで打たれた野球ボールが快音とともにアフリカのガーナの青空に向かって飛んでいくシーンが浮かんでくるような胸のすく話である。