「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白
「担任教諭がスケープゴートにされた感が極めて濃厚」
裁判は、一審判決の直後県側が控訴し、控訴審がスタートしたが、2024年7月25日の第2回口頭弁論で早くも結審した。 教育法規の専門家で大阪大学名誉教授の小野田正利氏はこの控訴審において、教諭側に立って意見書を提出しているが、事件について、「生徒の自殺という重大事態の責任を取らせるために、担任教諭がスケープゴートとして措定された感が極めて濃厚である」と痛烈に批判。 例えば、「生活アンケート結果で、『いじめなどを心配しないで安心して生活している』というアンケート項目に対し、否定的な回答をした生徒がクラスに3人いたが、その3人に聴き取ることを怠った」との非違行為について小野田名誉教授は、「このアンケートは正しくは、『学校評価アンケート』であり、学校教育法によれば、そもそも学校への満足度を測定するためのもので、いじめ発見や通報を目的としたものではない。従って、否定的評価をした生徒がいたからといって、逐一その生徒から聴き取りを行わなかったと原告教師を非難することは、まったく不当な理由付けである」。
いまも教職に復帰できず
さらに、「当該女子生徒の個別アルバムに、他の生徒から誹謗中傷が書き込まれていたことにつき、その内容を確認していなかった」という非違行為についても、「この個別アルバムは通常の卒業アルバムとは異なり、生徒1人に1冊ずつ配布されたアルバムに、学校生活の思い出を書き込んだり写真を貼ったり、友人同士、互いのアルバムに書き込んだりするもの。寄せ書きとは違う。この中学校にとっては初めての試みで、扱いについて一定のルールはなく、生徒の自主性と自主管理に委ねられていた。担任教師として、クラス全員の個別アルバムの内容をすべて精査すべきだったとする茨城県の主張は無理難題、暴論としか言いようがない」。 そして、調査委員会の報告書については、「あまりにも無理な推論と理由付けを行っている」「一種の『でっちあげ』に相当する」と一蹴する。この報告書はいまも、茨城県教委のホームページに掲載されている。 梶原教諭は、一審の勝訴判決が出た後も教職に復帰できていない。