「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白
結論ありきだった?
梶原教諭が、懲戒停職処分は違法であるとして、取り消しを求めて水戸地方裁判所に提訴したのは、2022年3月3日である。 その後、当事者双方の主張と証拠の応酬が行われたが、裁判所が、調査報告書の認定の根拠となる証拠(事情聴取記録等)の提出を茨城県に再三求めたのに対し、県は調査報告書の原資料等の提出を検討するとしながら回答を引き延ばし、結局、証拠をほとんど出さなかった。 なお、女子生徒3人による「いじめ」については裁判では検討せず、あくまで県が教諭に下した処分の妥当性に絞って審理された。 2023年9月には証人尋問、本人尋問が行われたが、県側の証人は当時の教務主任ただ1人。対して教諭側は、梶原教諭の当時の同僚2人が出廷し、当時の教諭の指導、言動が他の教員たちと比較しても特に対応を誤ったものではなかった旨を証言した。同僚2人は、梶原教諭をことさら悪者にした調査委員会の報告書に強い違和感を抱き、最初から結論ありきだったと主張している。 また、この同僚の証言で、自殺直後、両親が学校側に、「(娘に)言い過ぎた。あまり広めないでほしい。自殺したとは言ってほしくない」と話していたことも分かった。
全面勝訴に
今年1月12日の判決は、教諭が行ったとされた6件の非違行為のすべてを否定した全面勝訴だった。 判決内容の一部を要約して紹介しよう。例えば、美恵子さんが第3学年進級後に交友関係が変化し、多くの教員や生徒たちは違和感を抱いていたが、対応せず、「いじめの関係性を固定化」させてしまったとされたことについては、 「この中学校では、第3学年進級時にクラス替えが行われているから、本件生徒の交友関係に変化があったのは不自然なことではない。また、本件生徒の交友関係の変化がそれほど重大なら、違和感を抱いた他の教員が、担任である原告に注意を払うように助言をしたり、教員間で情報交換がされるはずだが、そのようなことはなかった。それはつまり、本件生徒の交友関係の変化は、原告がいじめを疑い特別に対応しなくてはならないほど重大なものだったとは認められないことを示している」