「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白
独自に証拠調べすら行わず
自殺の引き金とされたガラス破損事件については、 「本件調査報告書中には、原告はガラスの破損は3名の連帯責任であると考えていたため、3名に対し、弁償については各生徒の保護者に確認すると伝えたとの記載部分がある。しかし、原告はこの事実を否認している。確かに、ガラスを割った女子生徒Aが弁償すると申し出たにもかかわらず、原告が3名の生徒全員に対して、弁償についてはそれぞれの保護者に確認すると伝えるべき理由はなく、記載部分は不自然である。また、本件調査委員会が、記載部分につき、いかなる資料を根拠に認定したのかは明らかではなく、記載部分を裏付ける証拠はない。原告は、時間を守って行動するよう指導をしたと考えられ、このような遅刻指導自体が不適切であったということはできない」 「本件調査委員会が~記載部分を裏付ける証拠はない」との一文は、判決文の他の箇所でも同様の記述が見られる。つまり裁判所は、調査委員会の調査結果そのものを疑問視し、県教委がこのずさんな調査報告書に依拠し、独自に証拠調べすら行っていないことを問題にしているのである。
「誰かの責任にするためだけの調査報告書」
梶原教諭の代理人の鈴木一弁護士はこう話す。 「裁判で県は原資料、証拠を出してこなかった。これはある意味敵失といっていい勝利でした。そして判決によって、調査委員会の報告書のお粗末さが露呈しました」 もう一人の代理人で、教職から弁護士に転じた有川保弁護士は、学校トラブルを巡る第三者委員会の調査に詳しい立場から、こう手厳しく批判する。 「あの調査報告書は、人のせいにするため、誰かの責任にするためだけのものです。判決では、教諭を処分する理由がないとまで言われた。そもそも調査委員会に司法のような調査権限はなく、裁判所並みの立証責任もない。分からないことは分からないと言えばいいのにそれができない」 任意の事情聴取をもとに事実認定を行うため、報告の信頼性には限界があるということだ。つまり、第三者委員会の調査そのものの信ぴょう性に大きな疑問があるのである。