夢眠ねむやあのちゃんも訪れた、面白さひしめくサブカルチャーの聖地「中野ロープウェイ」
昔は、中野や秋葉原も「オタクの聖地」として代表的な街だった。しかし、2010年以降はアーティストやアイドルも訪れるようになったことで、メディアで紹介されるとともにサブカルチャーもマスへの認知が高まっていった。 それに伴い、いわゆる「サブカルっぽさ」を象徴とする雑貨やアパレルは、今では「流行」として、一般化されている時代だ。
しかし、どんなに「サブカルっぽい」アイテムが量産されても、中野ロープウェイの雑貨のセンスは誰にも真似はできないだろう。
イトウさんの感覚的なセンスがあるからこそ、中野ロープウェイの雑貨は心を惹きつけるアイテムとして成立する。 中野ロープウェイの商品はどのようにして選んでいるのだろうか。
「僕は仕入れのときは、商品と喋っていますね。商品を選んでいるというより、選ばされているというか。犬のキーホルダーの時は無意識だったのですが、最近は商品の声を聴きとる感覚が掴めてきました」
10年後の中野ロープウェイとサブカルチャーの未来
中野ロープウェイは奇跡的な偶然が重なって生まれたように感じる。 しかし、イトウさんの話を聞くと、中野ロープウェイがオープンするのは、必然の出来事だったのかもしれない。 サブカルチャーやオタクが一般的になるとともに、中野ブロードウェイの客層もだいぶ変わってきた。 それに伴い、施設内の店舗もひと昔前と比べると入りやすい雰囲気のお店が増え、ある意味「サブカルっぽさ」というものが簡単に手に入りやすい時代になったとも言えるだろう。 そのような状況のなか、やはり中野ロープウェイが唯一無二のお店だと感じてしまうのは、まさに最初から「狙っていなかった」ことに尽きる。
イトウさんは、お客さんのカゴにある商品を見るのが一番好きだと話す。中野ロープウェイには人気商品が多数あるが、お客さん自身が選んだカゴの中の商品がもっとも魅力的な組み合わせに見えるという。 イトウさんの純粋な思いでオープンした中野ロープウェイ。そこに夢眠ねむやあのちゃんといったアイドルの活躍時期が重なり、連日多くのファンが訪れる状況は、まさに時代を読んでいたかのように感じられる。 「今の状況も本当に偶然というか。先のことは読めないから、自分がなんの動力もオールもなくコントロールも効かない笹舟だと自覚して、川の流れに身を任せるだけです。 たまに濁流があったりもするけれど、それも含めて面白かったりする。結果的にどこに辿り着くかというのは、結局のところ運だったりもするので。 僕は僕自身を超えた大いなる意志の流れ、あるいはその場の雰囲気みたいなものに身を任せるのみですね」 イトウさんに、今後の展望を聞くと「とりあえず、頂き女子りりちゃんが出所する10年後まではお店を続けて、その後にもう一度考えてみたい」と話してくれた。 10年後の中野ロープウェイは、どのように変化しているのだろうか。次に誕生するアイドルも含めて、楽しみでならない。